本研究は、学校の体育授業におけるボール運動、球技に関する単元において、学習内容となり得る「ゲームに関する原理」について検討することを目的とした。 最終年度は、ボールの移動が攻撃性を帯びるのは、主にボールの移動速度が増すことに関連するということを明らかにした。「速度」というのは、「速さ」と「方向」という独立変数を持つので、ボールの攻撃性(Aggressiveness of Ball Movements)=f(s、d|p)という関数的定義で示しうることを明らかにした(pは球技の攻撃の目的、すなわちボールのゴール方向への移動を示す)。 この原理については、研究期間前半を通じて検討し、H27.11.19-20にニュージーランドで開催されたGame Sense for Teachers and Coaches Conferenceにて研究発表した(Proceedingsに掲載済)。また、H28.11.5には、日本教育実践学会第19回研究大会(於:神戸)において「ゲームの原理をベースにした体育の球技指導について」として大学生対象体育実技で実践した内容を報告した。 この「ボールの攻撃性」を中核に据えたゴール型のゲームを実施することで、Wade、Gréhaigneら、ヨーロッパの研究者が取り上げている様々なゲームの原理についても、あわせて指導が可能となることを明らかにした(上越教育大学研究紀要第36巻第2号に掲載済)。 これらの研究成果は、「学校体育におけるボールゲームの指導読本」として冊子体にまとめ(印刷済)、今後は各種の講習会や大学院の講義において使用予定である。
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