研究課題/領域番号 |
26350716
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
村瀬 浩二 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (90586041)
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研究分担者 |
安部 久貴 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (40634556)
梅澤 秋久 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (90551185)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 勤勉性 / 自律性 / フロー体験 / 挑戦的機会 / 内発的動機づけ |
研究実績の概要 |
生涯スポーツの実践において、最も重要であろう要素は運動を自律的に楽しむ能力と考えられる。本研究は、その楽しむ能力を没頭する能力である「勤勉性」と仮定した。本研究の目的は、体育授業における勤勉性に関する要素を抽出し、その向上に関わる方策を検討することであった。2年目までの研究において、体育授業場面から抽出した勤勉性によって質問紙を作成し、小学生3~6年生1,276名を対象とした調査を実施した。3年目は、この調査から得られたデータについて因子分析を行い、因子を抽出後、関連する要因との分析を実施し、その結果を元に論文を作成した。因子分析によって「勤勉さ」、「挑戦機会の発見」、「積極的発言」、「仲間への共感」の4因子22問から構成される「体育勤勉性尺度」が完成された。この尺度は、体育場面において問題状況を解決しようと努力する場面の営みを測定するものであり、自律的な傾向を評価したものである。この「体育勤勉性尺度」4因子は、体育授業での没頭度に関する設問との間に中程度の相関を確認できた。なかでも「勤勉さ」との間にr=0.63の相関を確認できたことから、本尺度は楽しさ体験である「フロー」を測定していると考えることができる。また、本尺度の内容は問題解決に向かう過程のなかで、自律的に体育場面を楽しもうとする傾向を明らかにしたものであった。また、国語や算数における勤勉性との相関から、教科に関わらない普遍的な勤勉性の存在が示唆された。 さらに、「体育勤勉性尺度」を用い、体育授業の実践のなかで勤勉性を高める方策を検討した。その結果、単元展開に応じた教師の発問が子どもの創造的思考を生み出し、それを運動のなかで実現しようとする過程が子どもの必要感に即した課題設定であった。この様な子どもの挑戦的機会を探索しようとする課題設定が子どもの勤勉性を高めることを確認できた。
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