本論の目的は鉄棒運動の動画をスローモーションや繰り返しで提示した場合,客観的な運動経過は観察者にどの程度把握されるのかを明らかにすることである.そのため小3と中1の被験者を3群に分け,通常再生速度1回,3回繰り返し,1/3スロー再生で技を提示し,記憶した運動経過を紙人形の操作によって再生させる実験課題を行った. 再生の正確さを得点化して比較した結果,両学年ともに3つの群で有意差が認められなかった.したがって繰り返しやスロー再生は運動経過の把握に有効であるとは言えない.また,け上がりのスロー再生を観察した者の平均得点が有意に高かったため,運動構造が複雑であればスロー再生が有効であると推察される.
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