研究課題/領域番号 |
26350724
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
山田 理恵 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (60315447)
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研究分担者 |
榊原 浩晃 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50255220) [辞退]
櫻井 龍彦 名古屋大学, 大学院人文学研究科, 教授 (60170643)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スポーツを通じた開発 / 伝統的運動文化 / 綱引き / 打球戯 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、研究期間の3年度目として、日本の伝統綱引きを中心に、継続して現地調査(再調査のものも含む)および資料収集を行い、それらの成果を整理・検討した。具体的には、兵庫県美方郡新温泉町の「但馬久谷の菖蒲綱引き」(国重要無形民俗文化財)、難波八阪神社の綱引神事(大阪市指定無形民俗文化財)について、現地調査および資料・情報収集を行い、地域開発の観点から考察した。また、伝統綱引きとの比較という視座から、近年行われるようになった「いちはら大綱引」(上総いちはら国府祭り)(千葉県市原市)、「鹿島の森伝説 越前・加賀県境綱引き」(福井県あわら市、石川県加賀市)についても、現地調査および資料・情報収集を行った。 さらに、アイヌの綱引きの由来、現状などについても資料収集を行った。また、北海道江別市の江別地区市民まつりにおける綱引き(「土佐綱引き」)についても調査を行った。これは、姉妹都市である高知県土佐市の大綱引きを導入したもので、まちづくり、地域振興、連携などの政策のなかでのイベントとしての活用事例である。またそれとの関連で、土佐市の大綱引き(土佐市大綱まつり)に関する資料収集も行った。 また、日本の伝統打球戯についても継続して資料・情報収集を行い、保存・継承における課題を考察した。日本の馬事文化についても継続して検討した。 なお、村井文彦氏(馬の博物館)、森規昭氏(放送大学)を研究協力者として、研究を進めた。研究成果は、学会発表や学術論文等において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の伝統綱引きについては、前年度までと同様、充実した現地調査および資料調査を進めることができた。また、中国の綱引きについては、歴史文献をまとめた。韓国の綱引きについては、開催時期に合わせて調査に出向くことはなかなか困難である。日本の伝統打球戯に関しても継続して資料調査・収集を行ったが、アジアの打球戯に関する新たな知見は得られなかった。研究成果は、学会誌への論文投稿や学会発表等を通して発表した。 以上の点から、研究の進捗状況は、おおむね良好であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究結果から、さらに調査を行う必要がある事例については、現地調査および資料調査を実施する。たとえば、すでに聞き取りを行っている土佐市の大綱引きについて参与観察を行う。アジアの伝統綱引きについては、韓国慶尚南道宜寧郡の「義兵祭」の調査を行い、中国の綱引きでは、甘粛省で行われる「万人抜河」と少数民族の事例を集め、整理する。 また、研究期間の最終年度として、得られた資料を再検討し、これまでの研究結果の整理とまとめを行うとともに、それらの成果に基づいて、伝統的運動文化の新たな価値として、地域開発からみた意義と課題を考察し、本研究全体の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査、資料調査の回数が減ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画に加えて、再度または新たに実施する現地調査および資料収集を行うための旅費、文献複写費、図書購入代として使用する予定である。
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