研究課題/領域番号 |
26350725
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
竹島 伸生 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (00137126)
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研究分担者 |
楠 正暢 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20282238)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 老化 / リハビリテーション / 高齢者 / 自立度評価 / 運動効果 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,虚弱高齢者を対象に新たに光学機器を用いて生活動作を質的量的に評価することであった。測定機器は,歩行がオプトゲイトシステム,移動動作が KINECTである。中年,若年者および虚弱高齢者の基本動作能力をKINECTにより評価した。動作は,7つの動作:1)歩行(8m),2)椅子からの起居(手の使用の有無と頭の位置を指示(動かさない)),3)階段歩行(手すりの有無),4)床からの立ち上がり,を評価した。3群でいずれの条件下で主効果が認められ,高齢になるほど動作時間が遅延していた。しかし,多重比較検定から椅子からの起居は頭を動かさないという条件以外は中年群と高齢群に有意差が認められなかった。この動作様式のみによるADL評価は困難とみられた。KINECTは,キャリブレーションが不要,装置1台で空間認識が可能,安価であることなどからシステム開発後の普及が容易であるとみられるが,正確に行われているかという検証が必要である。上記の基本動作中をKINECTの測定精度の検討したところ,後ろ向きの計測は誤検出を招く可能性が高いことを示したが,およそ100mm以内であった。階段歩行時に斜め上からの計測では計測可能最大角度は30度であり,補正を行うことで階段昇降動作を数値化し,評価を行うことが可能とみられた。KINECTによる生活動作の計測結果で得られた3次元位置データを平滑化し,速度成分算出から総運動量を求め,主成分分析を試みた。例えば階段歩行などの周期的な運動の速度成分を自動算出し,健常者と麻痺を有する人では総運動量,固有値に明らかな相違が認められたが,さらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
従来から虚弱高齢者の自立度評価などには質問紙等による評価が一般的であり,立位保持,座位保持,腰掛け,移動,リーチ動作,床のものを拾うことや方向転換など動作をシミュレーションし,その動きをモーションキャプチャにより評価を試みようとしたが,虚弱高齢者の動作能力には個人差が極めて大きく,共通して実施が可能な動作を模索することに時間を要したこととKINECTの至適な解析方法を決定することがやや遅れ気味なっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,平成26年に測定したKINECTのデータの解析を進めることと新たに予定する虚弱高齢者のトレーニングによる生活動作に対する効果についてモーションキャプチャを利用して評価することを実施する。トレーニングは,油圧マシンを用いて,鵜飼病院関連施設で実施する。 自立指標の評価の試案が作成できた場合には,そのシステムを用いてさらなる測定を試み,交差妥当性についても検討を加えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
アメリカの協力研究者との情報交換(オプトゲイトの分析)で予算化した旅費であったが,William F. Brechue教授(Director, Center for Physical Development Excellence, Professor, Department of Physical Education, United States Military Academy)が昨年夏にDepartment of Physiology, Kirksville College of Osteopathic Medicine, A.T. Still University of Health Sciences, Missouri)に転職したために訪問を延期していたため
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次年度使用額の使用計画 |
今年5月におこなわれるアメリカスポーツ医学会での発表前後または開催期間中に情報交換,データ解析を行う予定であり,昨年度の未使用分経費を今年度に使用する予定。
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