研究課題/領域番号 |
26350725
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
竹島 伸生 鹿屋体育大学, その他部局等, 教授 (00137126)
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研究分担者 |
楠 正暢 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20282238)
小濱 剛 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (90295577)
藤田 英二 鹿屋体育大学, その他部局等, 講師 (50506300)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 老化 / リハビリテーション / 高齢者 / 自立度評価 / 運動効果 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,平成26年度の工学センサーを用いた動作解析の基礎的な検討に続き,虚弱高齢者(要介護者)と健常高齢者を対象にKINECT2(新タイプ)を用いて椅子からのたち上がり動作の比較を試みた。試技は手を使わずに「立ってください」という合図で椅子から立ち上がる動作を行わせ,動作に要した時間と動作開始から終了までの間,肩と腰の関節を結ぶ直線と,鉛直方向との成す角(動作角度)をサンプリング点ごとに算出して時系列とし,その中で最大値を抽出し,2群間の比較を試みた。その結果から,虚弱高齢者は健常高齢者とたち上がり時間には有意差が認められなかったが,動作角度は健常者に比べて有意に大きく(虚弱群: 28.1 ± 6.3 度 vs. 健常群: 21.8 ± 6.2 度, P<0.05),身体を傾斜して立っている状況が明らかとなった。両群の比較からROC解析を用いてカットオフポイントを調べ,基準評価値として試案している(平成28年度日本体力医学会で報告予定)。虚弱高齢者の基本動作能力の中でKINECTを用いた椅子からのたち上がり動作の評価が自立度評価の手段に利用可能な示唆が得られた(2016年6月豪州での国際会議で発表予定)。その他運動による動作や歩行による変容についても虚弱者のみならず健常高齢者のトレーニング効果(Nordic walking)について光学センサーによる測定機器(KINECTおよびオプトゲイト)を用いて動作の改善や基準値などの検討を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KINECTによるデータ収集は容易であるが,解析等にかかる方法論で時間が要したことでやや進捗が遅れ気味であったが,ほぼ予定通りに進み,学会発表等にいたるまでの研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
虚弱高齢者を対象とした研究であるために,また動作の解析をおこなうことから,対象者の健康状況や身体状況に応じて測定や研究を進めるために測定人数がやや不足する感じがあり,学術論文を作成することをねらいとしているために最終年度(3年目)においても測定~分析をさらに繰り返す努力をおこなうとともに国内外での諸学会での公表も積極的におこない,完成後は実践現場や対象フィールドでの使用を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢者のADL評価の新しい方法としてKINECTやオプトゲイトを使った動作解析を試みる研究であるが,KINECTが2年目(2014年度)に新しいバージョン(V2) が発表され,初年度に得た旧機器のデータとの互換性がなく,かつ新しい機器がより正確な動作評価が可能であるため使用機器をV2に替えてデータの再収集をおこなうという変更が生じたことから謝金を旅費へ(測定会場が名古屋,鹿児島)と回すなど執行状況に修正の必要が生じことと,また成果報告のための旅費の執行を次年度へ回す(データ収集の遅れ)などの変更が必要となったため
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度においても引き続き測定を実施するための謝金及び学会発表(研究成果報告)による旅費に充てる予定。
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