研究課題/領域番号 |
26350727
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
丸山 真司 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (10157414)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 体育カリキュラム / 体育のカリキュラム開発 / カリキュラム開発方法 / 開発主体としての教師 / スクール・ベイスト・カリキュラム開発 |
研究実績の概要 |
初年度の研究課題は、「体育教師のカリキュラム開発能力の内実と構造の理論的・実践的解明」であり、ここでは「カリキュラムデザイン-カリキュラム実施・調整-カリキュラム評価」という3つのカリキュラム開発の層が連動するダイナミックなシステムを明らかにし、これらの層で必要とされる能力の内実と相互連関、及びカリキュラム開発能力の構造モデルを構築しようとするものであった。 研究成果の第一は、教師が体育カリキュラム開発を展開する際のダイナミズムや方法原則を理論的・実践的に明らかにし、『体育のカリキュラム開発方法論』(創文企画、2015.3)に単著としてまとめたことである。この方法原則の中に、体育教師のカリキュラム開発能力の内実と構造を描く理論的根拠を見い出すことができた。研究成果の二つ目は、体育教師がカリキュラム開発の主体となることの意味や課題について、学校体育の正当化に向けて目的-内容、手続き、組織という側面から明らかにし、「体育科教育学研究」(日本体育科教育学会,第30巻第2号、2014年7月,pp.73-80)にまとめたことである。体育カリキュラム開発は体育実践に支えられる。三つめの研究成果として、優れた体育実践を創造してきた5名の体育教師の体育実践を分析検討(『たのしい体育・スポーツ』、第34巻第1号、2015年1月,pp.46-50)し、そこから体育教師のカリキュラム開発能力形成の契機を見出したことである。第四の成果は、ペルーのカトリカ大学での研究発表である。日本の体育科教育学研究においてペルーの学校体育研究やカリキュラム研究は全く未開拓である。現地に赴き、現地の体育研究者や体育教師とのディスカッションの中から体育カリキュラム開発能力形成の意味や条件、課題が引き出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、教師による体育カリキュラム開発の方法原則やダイナミズム、および教師が体育カリキュラムを開発することの意味や課題について明らかにすることができた。これらの研究は、体育教師のカリキュラム開発能力形成論の基礎的研究となるもので、その意味で今年度の研究においては体育教師のカリキュラム開発能力を規定する条件についてはある程度明らかにできたが、具体的なカリキュラム開発能力の内実やその連関(構造)については十分に明らかにすることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27-28年度は、体育教師のカリキュラム能力形成プロセスの解明が主たるテーマになっている。とりわけ、(1)体育教師のカリキュラム開発能力形成の特徴分析、(2)国内外の体育教師のライフストーリー事例検討、(3)カリキュラム開発能力形成に必要な方法・条件の解明という課題を進めていく予定である。昨年度から積み残された体育教師のカリキュラム開発能力の構造についての解明は、今年度の(1)の研究課題遂行と同時に進めていく予定である。(2)の研究課題については、優れた体育実践を創造している日本の体育教師およびカリキュラム開発が未開拓なペルーの体育教師を取り上げて検討する予定である。(3)の研究課題については、(1)と(2)の研究成果に基づいて研究を遂行していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年3月9日~17日にかけて、共同研究者と二人でペルーに海外出張をした。研究目的は、「ペルーの体育カリキュラム開発に関する調査研究と研究発表」である。2名の外国旅費等の出張費が当該年度の予算残高を越えたため、代表者の丸山がこの出張において立て替え払いした一部を次年度(27年度)支払いに回しました。そのために、結果として今年度の残高が85,324円になった次第である。
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次年度使用額の使用計画 |
まず、27年度の配分予算から立て替え分を支出するが、27年度予算の9割以上が使用可能の状態にある。それゆえ、27年度の研究計画遂行に支障をきたすこともなく、したがって計画を変更する必要は生じない。
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