研究課題
今年度の主たる研究成果及び課題として挙げられるものは以下の通りである。(1)体育教師(熟練小学校教師A氏)がカリキュラム開発に向かう実践的知識をどのように形成―変容してきたのかについてライフヒストリー・アプローチによって明らかにした結果、A氏の体育カリキュラム開発に向かう実践的知識の形成―変容プロセス(カリキュラム開発能力形成プロセス)は6期に区分される段階的な経過を辿り、それぞれの期における実践的知識の形成―変容の要因・契機が明らかになった。実践を基盤にした体育教師のカリキュラム開発能力は、おもしろい教材づくり→よい授業づくり→運動文化と子どもをつなぐ教材研究→年間計画とカリキュラムを意識した実践研究及び教材カリキュラム研究へと展開しながらそれらを主たる契機として形成されることが明らかになった。(2)体育教師のカリキュラム開発能力形成にとって年間指導計画立案能力は重要な鍵となる。体育教師が「年間指導計画-カリキュラム」をつくる意味と方法を明らかにした結果、体育教師が実践を基盤にして年間指導計画―カリキュラム開発を進める方法とその能力として、①子どもの実態分析力、②出口像―学年テーマを構想する力、③教科内容と教材を峻別し設定する力、④重点教材を設定する力、⑤「つかみの授業」(最初の単元授業)を構想する力、⑥体育理論の授業を年間指導計画に位置づける力、⑦体育授業と教科外体育(運動会や部活)を年間指導計画に関連づけて位置づけ構想する力、⑧年間指導計画を体育教師集団で議論しマネジメントする力がとりわけ重要であることが明らかになった。(3)これまでの研究で体育教師のカリキュラム開発能力の内実の理論的・実践的解明、カリキュラム開発能力形成プロセスの解明は進められたが、それを活かしたカリキュラム開発能力育成プログラムを構築するまでには至らなかった。今後の研究課題として残される。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)
Beitragsband des 10. Deutch-Japanischen Symposium, Institut fuer Sportwissenschaft der WWU Muenster
巻: 10 ページ: 30-31
たのしい体育・スポーツ
巻: 第37巻第1号 ページ: 56-59
体育科教育
巻: 第66巻第3号 ページ: 33-37
日本教科教育学会第43回全国大会論集
巻: 43 ページ: 52-53