研究課題
本研究は「現代の子どもの環境や実状に応じた幼児期の運動遊びのプログラムの作成」が主目的である。昨年度この目的のために「保育者を通して、“幼児期運動指針”の現場での活用状況、幼児の運動発達の実状を知ること」を必要な課題とした。そこで2016年度は「幼児期運動指針」『幼児期運動指針ガイドブック』が、全国の保育園・幼稚園等にどの程度浸透し生かされているのかを調査した(以下「幼児期運動指針」を「指針」、『幼児期運動指針ガイドブック』を『ガイドブック』と表記)。この調査では、①園長らの『ガイドブック』の各園での扱い方、②保育者が「指針」『ガイドブック』を読み、理解しているのか、③保育者は「指針」『ガイドブック』を日頃の運動遊びでどの程度意識しているのか、等を調べた。調査は保育園・幼稚園等73園の園長と3、4、5歳児クラスの担任に依頼した。園長には園環境や『ガイドブック』の扱いについて、担任には「指針」『ガイドブック』やクラスの実状等を尋ねた。その結果、①園長らの『ガイドブック』の扱いは園によって差が見られ、購入し配布する園もあれば、何もしない園もあった。②保育者については「指針」『ガイドブック』を読んだことがあるは35.6%、理解しているは29.3%。20歳代前半の保育者が「読んでない・理解していない」傾向も見られた。③保育者経験が増すに従い「指針」の理解が進むというわけでもなかった。④必ずしも「指針」が現場の保育園、幼稚園に浸透していないように思われた。同調査では「幼児の運動発達の実状」も保育者らに聞いている。さらにこの点も今後報告したい。就学前の保育・教育の状況はここ数年「幼保一元化」の問題もあり、目まぐるしく変化している。その保育環境は、ビルの中の狭い保育園から広い園庭のある幼稚園まで様々である。これらの実状を踏まえた上での幼児期の運動プログラム作成がさらに求められている。
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