研究課題/領域番号 |
26350734
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
石倉 忠夫 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (90319468)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 運動技能学習 / 情動的フィードバックメッセージ / 快・不快感情 |
研究実績の概要 |
本研究は実験者から学習者に与えられる情動的フィードバックメッセージが運動学習に及ぼす影響について検討することを目的とした。 研究実施計画は3年度にまたがって計画されている。初年度に当たる平成26年度は研究課題Ⅰとして2つの研究が計画された。 一つは情意的フィードバックメッセージを収集する研究である。大学生を調査対象とし、成功あるいは失敗したときに指導者から受ける「快く感じる」「不快に感じる」言葉を収集することができた。さらに性格特性によってこれらのメッセージに対して反応が異なるという結果が明らかにされた。この結果を論文としてまとめた(石倉忠夫「運動後に指導者から与えられる快/不快感情喚起メッセージと学習者のパーソナリティーとの関連性」京都文教短期大学研究紀要,第53集,pp79-89.2015)。 他方の研究は、前述の研究で収集されたメッセージを使用し、快・不快感情喚起メッセージが気分や生理的反応に及ぼす影響について簡単なタイミング課題を用いて検討することを目的とした。その結果、パフォーマンス後に快感情を喚起するメッセージが与えられると、生理的指標の目立った変化が認められない程度で肯定的感情が上昇するという結果が得られた。この結果を論文としてまとめた(石倉忠夫「タイミング技能学習における情動喚起フィードバックメッセージが学習者の気分と生理心理的指標に及ぼす影響」同志社スポーツ健康科学,第6号,2015に掲載予定。現在印刷中) 今年度の研究は予定通り進行し、特に情動的フィードバックメッセージが失敗や不安に連結するプレッシャーの影響、そして外向性/内向性のようなパーソナリティーに有効な情意的フィードバックメッセージなど検討していく基礎データが得られたといえる。平成27年度は予定通り情動的フィードバックメッセージが運動学習に及ぼす影響について検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は研究計画通りに実験を進めることができ、その成果を論文(2編)としてまとめることができた。 また、予定した実験以外に情動喚起メッセージに対する快・不快判断に要する反応時間を検討することができた。その結果、失敗したときに指導者から与えられる快感情喚起メッセージに対し、快感情を喚起するメッセージであるとの判断が遅れるという結果が得られた。つまり、成功・失敗時に指導者から与えられる快・不快感情を喚起するメッセージに対する感情の反応や判断は異なるということになる(平成27年度の学会で発表する予定である)。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度に実施した研究から追加研究を行わねばならない課題が明らかにされた。情動喚起メッセージとパーソナリティーとの関連性については、調査対象者数が少なかったため、より詳しく検討することができなかった。この点に関しては調査対象者数を増やして再検討しているところである。また、快・不快感情喚起メッセージが気分や生理的反応に及ぼす影響については情動喚起メッセージが与えられる環境をより現実的に感じられるよう提示方法を工夫するとともに、気分と生理心理的指標に変化について別途実験を進めていく準備をしている。 その他、快・不快感情喚起メッセージが運動技能学習に及ぼす影響(タイミング課題:研究課題Ⅱ-1)についても、研究計画の予定通り今年度実施していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
私が担当するゼミ学生が本研究における実験を卒業研究として行いたいとの申し出があり、実験補助謝礼の支出がなくなったことが次年度使用額が生じた理由である。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究成果を国際学会や海外雑誌に発表する際には英文校正サービス業者に英文をチェックしてもらう。この時に発生する謝礼の支出に充てる計画である。
|