戦後の生活体育には二つの立場があり,それは1960年に佐々木-瀬畑論争となって表面化した。しかし,この論争は実証的な研究の俎上に載せられていない。そこで,本研究ではこの論争を生活体育論争として再解釈することを目的とした。具体的には,1)佐々木-瀬畑論争にいたる両者の理論的,実践的動向を探り,2)この論争を「体育科教育本質論争」に位置づける試みを行った。 その結果,この論争はしばしば言われている「からだづくり論」と「運動文化論」の対立や論争ではなく,両者は生活体育の考え方にたっていたことを明らかにした。そして論争の論点はその後の二つの立場へ大きく影響を与えたことを明らかにした。
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