最終年度の研究では、「注意と関連する脳領域」の活動を推定する質問紙を用いてメンタルトレーニングの効果を指標化することを目指して、脳内の注意システムの活動を適切に維持するためのインストラクションを与えられるようなスマートフォン用アプリケーションを開発することを目的とした。質問項目は、「あがり」に関する先行研究を参考にし、島皮質の研究結果を考慮して、末梢の活動と関連する項目や身体の気づき(awareness)と関連する項目など32項目選定した。 これらの32項目を「不安感情」や「交感神経興奮」など6因子に分類するようにし、各因子の得点を1点から5点で算出できるようにした。これまでに行った研究より、脳内の注意システムを統制する島皮質の活動は、情動が中立に近いときにもっとも活動が高まることから、各因子の得点が中立を示す3点の数を示す因子がいくつあるかを総合評価とするようにした(6段階の評価)。 アプリケーションの開発では、今後の汎用性を高めるために、(a)質問項目に関するテキストを入力する部分、(b)得点の計算方法を記す部分を独立させ、多くの研究領域で開発されている様々な質問紙も容易にアプリケーション化することができるようにした。アプリケーションの開発は、iPhone用のiOSを対象として、Apple社製のXcode(iOS用プログラミング環境)を利用して開発た。アプリケーションでは、スマートフォンなどの小さい画面での操作を想定し、1つの質問項目に回答すると画面が次の質問項目に自動的にスクロールするなど、入力面での操作にも考慮して開発した。アプリケーションは無料配布できるよう、アプリケーション配布サイトに登録の手続きを開始した。
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