研究課題/領域番号 |
26350743
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高嶋 航 京都大学, 文学研究科, 准教授 (10303900)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 軍隊 / スポーツ / 男性性 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦前・戦時中の日本における軍隊とスポーツの関係を男性性の観点から探究するものである。二〇一五年は戦後七〇年の節目の年であり、かつ東京オリンピックを五年後に控えるという、まさに本研究が着目される条件が整った。もともと本研究の成果となる書籍は今年度に刊行するつもりだったが、せっかくの機会ということで、出版社と協議のうえ刊行を急ぐことにした。そのさい、既存の論文二本に加え、欧米の軍隊スポーツについて書き足すこととし、二〇一四年度に本研究の一環として実施したヨーロッパでの資料調査の成果を生かしつつ、欧米の軍隊スポーツを概観し、日本と比較する一節を付け加えた。この問題については、二〇一四年度より取り組んでいたので、ほどなく原稿を出すことができ、初校から二か月というスピードで刊行にこぎ着けることができた(『軍隊とスポーツの近代』青弓社刊)。本書については、『図書新聞』などで好意的な書評が出され、また一二月には北海道大学で本書の書評会も開催された。 くわえて、秋からは『東京新聞』の連載「還らなかったオリンピアン」(二〇一五年一〇月二五日~二〇一六年一月一九日の計七回、執筆は加藤行平)にも協力し、本研究の成果を社会に還元するとともに、戦時中のスポーツに対する世間の関心を高める努力を続けている。 本研究は書籍の刊行で完了したわけではない。積み残した課題、新たな課題が山積している。たとえば、軍隊とオリンピックの関係や、私の専門である中国の軍隊とスポーツとの比較などである。秋以降は、とくにこの二つの問題についての資料収集を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
『軍隊とスポーツの近代』の刊行により、本研究は一応の成果を出した。そのため、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に本を刊行したものの、なお多くの課題が残されている。とりわけ、軍隊スポーツとオリンピックの関係は重要な課題である。本年は国際オリンピック委員会のアーカイブで資料調査を実施し、この問題を掘り下げて考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍の刊行を急いだために、予定していた海外調査を実施できなかった
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は国際オリンピック委員会にて、軍隊スポーツとオリンピックの関係を調査する予定である。
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