研究課題
運動時における下肢不自由者の主な動力源である上肢において、繰り返される動作の効率的な遂行には、上半身の動的安定性の影響が大きいことが予想される。また、これに加え、筋力、疲労、運動制御あるいは解剖学的な機能に関連して、左右差がどのような影響を受けるのかについてもよくわかっていない。これらのことから、本研究では、下肢不自由者の主な身体活動動力源である上肢・体幹の動作に着目して、運動中の動作特性(安定性、左右差)を定量的に明らかにし、運動中の動作特性(動的安定性、左右差)が実際の運動パフォーマンスに及ぼす影響を明らかにすることで、下肢不自由者の上肢・体幹の効率的な動作の獲得に貢献することを目的とした。下肢不自由者と健常者において、身体的な特性、運動機能、および運動中における上肢の動作特性(動的安定性、左右差)について、測定および分析を行った。動的安定性については、空間的、時間的偏差の両者において、下肢不自由者と健常者では異なる可能性があることが示唆された。また、上肢動作中の筋の動員および協働の様相では、下肢不自由者は健常者と比較して時間、タイミング、量において効率的に筋出力を調節していることが示唆された。下肢不自由者は、上肢の動作特性や筋出力を効率化することによって、実際の運動動作の局面でのパフォーマンス(動作の持続性、動作の正確性、筋の疲労耐性)を高めている可能性があることが示唆された。
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