平成28年度は、サーカディアンリズムとHSP発現による筋肥大の関係についてのメカニズムを解明することを目的とした。身体加温によるHSP発現は、これまでの先行研究により認められているため、本研究でも10分間40℃以上の入浴を行い、身体加温を行った。この入浴の際、水道水入浴と人工炭酸泉入浴を実施し、炭酸泉の効果についても調べた。前年、前々年同様、測定の前に被検者には実験計画および測定における危険性のないことを十分に説明し、インフォームドコンセントを得た。前年までの結果をもとに睡眠・覚醒、体温、HSPのサーカディアンリズムと身体パフォーマンスの関係について調べるために、様々な入浴後の睡眠状態を調査し、より有効な身体疲労回復について考察した。 平成28年度の成果は、人工炭酸泉入浴後の睡眠が有効に疲労を回復させる可能性について、人工炭酸泉入浴が筋力発揮後の柔軟性および筋の硬さを改善させる可能性について、長時間サイクリング中の下肢筋群による出力の効果について、21st annual congress of the European College of Sport Science(第21回ヨーロッパスポーツ科学国際学会)、水中での下肢筋力発揮の筋電図学的分析について、63rd American College of Sport Medicine(第63回アメリカスポーツ医学会)、水泳中の筋酸素動態の呼吸頻度の効果について、2016 Sports Medicine Australia(2016年度オーストラリアスポーツ医学会)にて発表を行った。 HSP発現を高めるための人工炭酸泉入浴が、効果的な身体疲労回復の可能性を示唆し、筋力発揮後の有効な回復も示唆された。
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