研究課題/領域番号 |
26350758
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
下山 好充 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20375364)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水泳 / インターバルトレーニング / 休息状態 |
研究実績の概要 |
水泳のトレーニングは通常インターバルトレーニング形式を用いられており,そのトレーニング負荷は,インターバルトレーニング中の休息状態からも影響を受ける可能性が考えられる.その休息状態は,大きくアクティブレストとパッシブレストの2種類に分類することができ,トレーニング現場でも広く用いられているが,科学的根拠に基づいた情報が少ないために,指導者の経験によって使い分けられていることが多い.そこで本研究では,アクティブレストという休息状態に着目し,トレーニングの目的に応じたインターバル泳に関する実践的な示唆を与えることを目的とした. 平成27年度では,水泳のトレーニング現場で実際に行われている典型的なアクティブブレストを用いたインターバル泳を用いてトレーニング負荷の検討を行なった.被験者は日頃から非常によくトレーニングを行なっている大学競泳選手を対象とし,主運動の時間を60秒,休息状態の時間を30秒という組み合わせによって,実験を実施した.運動強度は,主運動を100%VO2maxとし,アクティブレスト(休息状態)を50%VO2maxとした.また測定項目は,酸素摂取量および筋酸素動態,心拍数とした.その結果,アクティブレストを用いたインターバル泳は,パッシブレストを用いたインバール泳と比較して,酸素摂取量には大きな差は生じないものの,休息時間中の筋酸素動態が大きく異なり,再酸素化が制限されていることが示唆された. これらの研究成果をオーストラリアで行われた国際学会(2015 ASICS Sports Medicine Australia Conference)にて口頭発表を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的を達成するために,キック泳における大腿部分の筋酸素動態を測定すると同時に,キック頻度やキックのけり幅の測定も画像解析によって試みたが,水泡の影響で画像解析をすることが困難であった.そこで試行錯誤しながら,実験を積み重ねることによって,水中用の自発光マーカーを用いることでこれらの問題を解決することができた.このような状況から,予定よりも多少の遅れが生じているが,研究自体は少しずつ前進しているため,進捗状況を「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度では,アクティブレストの強度や時間の違いがトレーニング負荷にどのような影響を与えるかを検証する.被験者は普段から非常に良くトレーニングを行なっている全国大会出場レベル以上(入賞経験者を含む)の大学競泳選手とする.本実験における試技は全て屋内25mプールにて牽引負荷装置を用いて牽引泳によって行う.試技は一般的に行われているトレーニングをシミュレートし,主運動の時間と休息状態の時間をいくつかの組み合わせによって実施する.また測定項目は,試技中の酸素摂取量,外側広筋の筋酸素動態,心拍数,試技後の血中乳酸濃度とする.また,各試技を陸上および水中からビデオカメラを用いて撮影を行い,動作解析ソフトウエアを用いてキック頻度およびキック幅を測定する.その際,動作解析を容易にするために27年度に購入した水中計測用の自発光マーカーを用いる.酸素摂取量は水泳用に改良された特殊な水中マスクを用いて測定し,筋酸素動態はレーザー組織血液酸素モニターを用いて測定する. また,国際学会にて,本研究結果について,トレーニング科学や水泳の専門家と議論する.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際学会が大学業務と重なったため参加できず,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
トレーニングや水泳関連の国際学会および国内学会に参加し,本研究成果についてトレーニング科学の専門家や水泳の専門家とのディスカッションを実施する予定である.
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