これまでのレジスタンストレーニングに関する研究は、目的とする筋群への効果という観点で実施されてきたが、トレーニングによって生じる適応はその筋群を構成する筋間や同一筋内の部位間で一様でない。本研究では対象筋群を構成する各筋、さらに同一筋内の各部位(近位、中間位、遠位、内側部、外側部)という観点で、トレーニングセッション中の主働筋における筋活動について検討することを目的とした。特別なトレーニングを行っていない一般男性10名を対象とし、単関節動作として膝関節伸展筋力発揮を、多関節動作として脚伸展筋力発揮(股関節伸展+膝関節伸展+足関節底屈)を行わせ、主働筋である大腿四頭筋の筋活動を表面筋電図法により計測した。それぞれの最大筋力発揮を行わせた後に、その20、40、60、80%の筋力を維持させた。筋電図の表面電極は、外側広筋に5箇所、内側広筋に2箇所、大腿直筋に3箇所貼付した。その結果、各筋力発揮中の筋活動レベルに筋間差が観察され、外側広筋の内側部や内側広筋では膝関節伸展筋力発揮よりも脚伸展筋力発揮の方が高く、大腿直筋では脚伸展筋力発揮よりも膝関節伸展筋力発揮の方が高かった。また、外側広筋においては筋活動レベルの筋内部位差が観察され、外側部では膝関節伸展筋力発揮と脚伸展筋力発揮の間に差がみられなかったものの、内側部では膝関節伸展筋力発揮よりも脚伸展筋力発揮の方が高かった。これらの結果から、外側広筋の内側部や内側広筋に狙いを定める場合には脚伸展動作が、大腿直筋に狙いを定める場合には膝関節動作が、トレーニング動作として望ましいことが示唆された。
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