本研究は,月経周期を考慮した体組成管理法を開発することを目的として,月経周期と体重,体水分量の増減,脂質燃焼効率との関連性の検討(平成26年度),月経周期を考慮した体組成変化に貢献する運動条件の検討(平成27年度)について研究を進めてきた.その結果,性ホルモン濃度の高い黄体期には,卵胞期に比べて体重,体水分量が増加することや運動後の血中ノルアドレナリン濃度が高値を示すことが観察され,月経周期のフェーズによって体組成や運動時生理反応が変化することを確認した.また,8週間の有酸素運動(HRR50%,30分間)の実施は,黄体期よりも卵胞期に運動頻度を高める条件において体脂肪率が有意に減少した.以上のことから,フェーズを考慮して運動頻度を変えることで体組成の変化に影響を与える可能性があることが示唆された.これらの研究成果については,国内外の学会において一般発表およびシンポジウムで発表した.また,学術雑誌の研究資料としてデータを公表している.さらに,女性アスリートや指導者を対象としたセミナーにおいても月経周期に伴う体重・体組成の変化について本研究で得られた知見について情報を発信した. 今後の課題として,性ホルモンの周期的変動が食欲および食事によるエネルギー摂取量に与える影響との関連性についても検討すべきであると考えられた.本研究で得られた結果に基づき,引き続き月経周期を考慮した体組成管理法の開発を目指す.
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