研究課題/領域番号 |
26350777
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
野村 照夫 京都工芸繊維大学, その他部局等, 教授 (60189438)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水泳 / クロール / ストローク / 呼吸動作 |
研究実績の概要 |
水泳選手の泳動作の共通性と多様性の抽出と泳動作変革の探索を目的にした。巨視的・量的なアプローチを継続しデータ数を増やすために、2015年度ジュニアオリンピック、全国中学、高校総体、大学選手権の水泳競技会のレースを撮影した。また、水中カメラにWiFiコントロールできるように有線アンテナを接続して水中撮影ができるシステムを構築した。 男子50m自由形決勝(B決勝も含む)における呼吸時と無呼吸時のストローク特性の違いを検討した結果、72名のうち呼吸動作の視認できた60名の15mから35mのストローク映像(59.94fps、1920×1080pixel)の2D-DLT解析を行い、呼吸サイクル(B)と無呼吸サイクル(NB)の被験者内効果を検討した。ストローク時間B(1.027±0.088 sec) > NB(0.990±0.075 sec) p<0.001、泳速度B(1.878±0.133 m/s) < NB(1.902±0.119 m/s) p<0.01であった。一方、手の入出水距離 B(0.110±0.172 m) ≒ NB(0.101±0.161 m)に差が認められなかった。したがって、呼吸動作が加わることにより、手の入出水距離に変化がなく、ストロークに要する時間の増大することが泳速度の低下を招くと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水泳選手の泳動作の共通性と多様性の抽出については順調に進んでいるが、泳動作変革の探索については、陸上カメラからの分析にとどまっている。その要因は2つ挙げられる。一つは水中撮影システムの構築に時間を予定以上に要したことである。しかし、水中カメラのWiFiコントロールが不可能とされてきた水中環境において制御できるようになったことの意義は大きい。もう一つは、動作分析ソフトを32bitのエクセルVBAでこれまで開発してきたが、64bitのエクセルVBAの互換性が低く、プログラムの大幅な改造が必要となったことである。引き続き互換性が保てる改造を続ける必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、動作分析ソフトの64bitのエクセルVBAの互換性を保てる改造を完成させ、3次元分析にも対応する。 共通性・多様性の長所を含むストローク形成練習をトレーニングに入れる介入実践によりストローク特性の変化をとらえる方向で、水中映像の分析に基づき、一層の競技力向上を見通した創発的泳動作変革の提案を目指す。
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