平成28年度においては、前年度までのインタビュー調査で得られた知見を検証する目的から、中学校ならびに高等学校における部活動顧問教員を対象とした質問紙調査を実施した。調査対象者数は2000名であり、963名より返信(協力)が得られた(有効回収率48.2%)。 質問紙(質問内容)の構成は概ね以下のとおりである。すなわち、①運動部指導で感じ得る事柄(部活動の問題点、負担感、運動部指導の理想と実際等)、②学校と地域との関係性についての意識(外部指導者に対する意識、総合型クラブに対する認知度及び意識、部活動と総合型クラブの連携協力関係に対する意識等)、③部活動運営及び総合型クラブとの関係構築に対する意識(自由記述回答)とした。 回収された質問紙をデータ化し、分析作業を行ったところ、以下のような傾向を看取するに至った。すなわち、①運動部指導で感じている事柄においては、大多数の顧問教員が「負担感」を抱いている。しかしながら、部活動指導をめぐる理想の現実に関しては、週5~6日間の活動日数を理想と考えるものが多く、実際の活動日数(5.57日)とさほど差異がないことがわかった、②学校と地域の関係性についての意識では、大多数の顧問教員が学校外(地域)資源の活用を望んでいることが明らかとなった。なかでも、総合型クラブからの協力支援が得られるのであれば望ましいとの意識が強く有されていることがわかったものの、実際には、総合型クラブにおいては、生徒のスポーツ教育への配慮が不十分であろうこと、そもそも総合型クラブ自体、部活動との連携を望んでいないであろうとの意識が強く有されていることがわかった。③自由記述回答の分析・解析を施した結果、顧問教員においては、「部活動指導をめぐる教育的意義と自らに伴う負担感」の中で、今後の総合型クラブとの関係には、期待と不信を併せ持った状況にあることが看取された。
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