研究課題/領域番号 |
26350782
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
高橋 仁大 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 准教授 (50295284)
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研究分担者 |
和田 智仁 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (70325819)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | テニス / パフォーマンス / 標準化プロファイリング / プレーヤー評価 / コーチング |
研究実績の概要 |
本研究は,筆者らが開発したテニスの電子スコアブック(髙橋ほか,2006)を用いて,近年筆者らが研究を行っているnormative performance profiling(以下,標準化プロファイリングとする)の手法を活用したテニスプレーヤーのパフォーマンス評価のためのプログラムを開発することを目的とする.さらに同プログラムの有用性について検証を行う.なお経費の都合上,プログラム開発については前年度に中止している. 標準化プロファイリング手法を用いることにより,プレーヤーの属する集団に基づく相対的評価や時系列的変化に基づく評価が可能となり,本研究の成果により実践場面でのプレーヤーの評価について,量的観点からの評価が可能となる. 平成28年度は,前年度に引き続き,これまで蓄積していた試合データをもとにパフォーマンス基準値の作成並びにパフォーマンス評価を行い,その有効性について検討を行った.特定の選手を対象として継時的変化について検討した研究では,標準化プロファイリングを用いて経時的変化を視覚化することにより,選手のパフォーマンスの変化を視覚的に理解することが可能になった.特にパーセンタイル値を用いていることにより,選手のパフォーマンスの良し悪しを明確に示すことができた.また特定の選手同士による対戦の内容について検討した研究では,複数の試合を分析することにより,選手のプレーの特徴や得失点の傾向を客観的に示すことが可能となり,特定の選手に対する対策を示すことの可能性がうかがえた.これらの結果は,標準化プロファイリングを用いたパフォーマンス評価の有効性を示すものであると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,標準化プロファイリングの手法を活用したテニスプレーヤーのパフォーマンス評価のためのプログラムを開発し,その有用性について検証を行うことを当初の目的としていた.経費の都合により,プログラム開発については中止したものの,平成27年度から平成28年度にかけて,標準化プロファイリングによるパフォーマンス評価の有効性について多様な観点から検討し,その有効性を示すことができたと考えられる. なお,当初の研究計画から変更があったことにより,研究期間を1年延長することとした.これにより,標準化プロファイリングを用いたパフォーマンス評価の可能性について,さらに詳細に検討を進める予定である.以上の点を総合的に勘案し,本研究は現在のところおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長したことにより,平成29年度も継続して研究を進める. 平成29年度は,標準化プロファイリングを用いたパフォーマンス評価について,選手自身による自己評価や,指導者による他者評価などとの関係性を示すことで,パフォーマンス評価の有効性についてさらに検討する.髙橋ほか(2011)は,選手自身の自己評価とスコアブックによる客観的評価との間に相違があることを示している.これは選手自身が適切な自己評価を行えていない可能性を示しており,選手の競技力向上の過程に影響を与える恐れがある.標準化プロファイリングにより,選手のパフォーマンスの継時的変化を示すことができることから,その評価と選手自身の自己評価や指導者による他者評価を総合的に判断することで,より正確に選手のパフォーマンスを評価できる可能性がある. このように,平成29年度は実践の現場を想定した研究を実施していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度にパフォーマンス基準値算出プログラムの開発を予定していたが,当初の想定よりも経費がかかることが明らかとなったため,プログラムの開発は中止した.それに伴い,当初の平成28年度に実施する予定であった研究内容について,平成27年度から平成28年度にかけて実施した.平成28年度の研究はおおよそ当初の想定通りに実施したが,平成27年度から繰り越していたプログラム開発を想定していた経費をさらに繰り越すことになったため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は,標準化プロファイリングによるパフォーマンス評価と選手自身の自己評価や指導者による他者評価などとの関係性を検討することを計画している.そこで対象とする選手のゲームデータの収集や分析,その後の評価にかかる経費などに使用することを想定している.ゲームデータの収集にあたっては,選手が実際にゲームを行う現場で行うことになることから,そのための旅費等に使用することを計画している.
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