研究課題/領域番号 |
26350783
|
研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
北村 尚浩 鹿屋体育大学, その他部局等, 准教授 (70274868)
|
研究分担者 |
川西 正志 鹿屋体育大学, その他部局等, 副学長 (50177713)
濱田 初幸 鹿屋体育大学, その他部局等, 教授 (50347118)
前阪 茂樹 鹿屋体育大学, その他部局等, 教授 (10209364)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 武道必修化 / 教育効果 / 非構造化データ / 質的分析 |
研究実績の概要 |
平成24年度から実施された新学習指導要領に基づいて中学校で必修化された武道教育の効果を明らかにすることを目的として,調査協力の得られた34校の生徒4366人を対象として,質問紙調査を実施した. 平成28年1月31日までに回答が得られた21校の1673人について分析した結果,体育の授業で実施したことのある武道種目としては柔道が最も多く50.6%,次に剣道が39.4%であった.武道の授業を通して学習できたと思うことは,「相手を大切にすること」が最も多くの生徒が「思う」と回答しており(56.6%),次に「相手を思いやる態度」(45.3%),「運動の楽しさや喜びを味わうこと」(41.4%),「日本の伝統文化に触れること」(37.5%)の順であった.全体的に見て,伝統文化に関する内容よりも仲間や他者との関わりに関する効果を感じている様子が見て取れた. また、自由記述回答で尋ねた「武道を習ってよかったと思うこと」としては,「日本の伝統的な武道ならではのよさを味わえました」「受け身など大けがをしないような技を覚えることが出来てよかった」など伝統文化の体験や技能の習得,「武道の礼儀を大切にしていることや礼儀の大切さが良く分かったこと.友達と大切にしたり思いやることの大切さを学ぶことができた.友達や相手を大切にしていきたいと思えた」のように礼儀作法、他者尊重を挙げる声が多く見られ,期待される教育効果が得られていることが示唆された.一方,「武道の学習で嫌だったこと」としては,「道具の使いまわしや古い物を使ったりやぶれたものを使ったりしたこと」「受け身に失敗して腕をケガした」「体が痛くなること」などのように,剣道の防具に対する不満やケガ,痛みを挙げる声が多く見られ,用具の管理や安全への配慮,実施時期などの検討の必要性が示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,武道種目の教育効果について,受け手である生徒の立場から検証することが主なねらいであった.特に,生徒が武道の授業についてどのように捉えているか,肯定的・否定的側面の両方にわたって自由記述による回答を得た.サンプル数が多くなったため入力に時間を要し詳細な分析までは至っていないが,このような非構造的データを多数得られたことで,量的調査では明らかにすることが難しい生徒たちの武道に対する態度を詳細に分析できることが期待される. これらの生徒から得られたデータと前年度に教員から得られたデータの比較検討も可能となり,概ね順調に進展していると評価できる.
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,海外の武道参加者が武道に抱く教育的価値を調査することが主な目的としている.そのため,海外の研究者と連絡を取り調査協力の内諾を得ている.このデータを日本の武道参加者と比較することで,武道のスポーツ化・グローカル化の現状を明らかにする.さらに,前年度までの一連の調査データ分析とともに,中学校における武道教育のあり方について,具体的な検討をすすめる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
アンケートの回収とデータの入力に時間を要したたため,当初計画した学会での発表ができず次年度の発表に持ち越したことが大きな要因である.
|
次年度使用額の使用計画 |
学会発表等の旅費に使用する計画である.また,海外調査のための協力者謝金としても使用する計画である.
|