研究課題/領域番号 |
26350789
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
瀬戸 邦弘 上智大学, 文学部, 講師 (40434344)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 身体論 / スポーツ・身体文化 / 応援団 / バンカラ文化 / エスノサイエンス / エスニックスポーツ / 身体文化論 / 伝統的身体観 |
研究実績の概要 |
2年目にあたる本年度は、初年度に続き各地域の日常・祝祭における「表象としての身体」の調査を継続した。本年度の調査は昨年度に引き続き岩手県、岡山県、鳥取県、沖縄県など東北から九州・沖縄まで広範囲に渡り実施され多くのデータを得ることができた。これら調査地は全国に知られるコンペティションを中心事とする祭りの実施地域であり、本研究における研究地域としては最適の場所である。本年度は昨年度得られた知見をベースに参与観察に先立つ事前研究を実施し、調査の準備を十分行っている。次に祭り実施時期に当該地域に赴き参与観察を行い、祭りのアーカイブを徹底的に行った。その後、申請者が祭りを観察して得た疑問等をインフォーマントに改めて聞き取りを行っている。特に今年度の調査では伝統的な身体の認識、風習など当該地域で共有される身体観の詳細などのデータ収集が行われ、日常、非日常ともに総合的な理解のデータ作りが進行した。 また「近代以降の身体研究」として応援団の研究も実施された。今年度は、特に旧制中学の流れを汲む地方の「伝統校」に注目し岩手県、宮城県などで調査を行い、盛岡第一高等学校、仙台第一高等学校などにおいて日本を代表する名門校において応援団活動の参与観察を実施している。また、香川県高松第一高等学校においても調査を実施し、旧制中学の流れにない高校の実践状況の比較研究も行われた。あわせて大学における応援団研究では、特に上智大学応援団に注目し、一年を通して徹底的に活動に密着し応援団活動のアーカイブを敢行した。4月の入団式に始まり上南戦(6月)、夏合宿(9月)、荒鷲の集い(10月)、SOFEX(11月)、幹部交代式(12月)、春合宿(3月)、幹部壮行行事(3月)、卒業式(3月)等の参与観察を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はスポーツ人類学、文化人類学の研究方法による参与観察、および文献研究を通じて行われており、現地での参与観察は関係者への聞き取り調査、およびビデオ、カメラによる映像・画像の記録を中心に行われている。参与観察をベースに展開される本課題は、インフォーマントの予定等に左右されるところもあるが、彼らより大きな理解・協力をいただき、概ね調査計画通り順調に研究を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる来年度は過去二年の成果を踏まえて研究をまとめることになる。まず、①伝統行事における身体研究では最終的な参与観察を行い、蓄積した研究成果をまとめることになり、学会での発表や著書・論文執筆などを予定している。また②応援団研究では過去二年間に続き、こちらも大学、高等学校(旧制中学)での調査を継続することになる。あわせて、たとえば上智大学応援団などは留学生が在籍した経験等を有し、また、来年度も女子のリーダー部員が誕生する予定である。このように、応援団を取り巻く環境も日々大きく変化しており、これまでの応援団の在り方ととその変容過程(ジェンダーやクールジャパン的な視点)に関しても研究を進める予定である。こちらも学会での発表や著書・論文執筆などを予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた参与観察の一部を、最終年度に移行する事とした。これはインフォーマントとの事前打ち合わせ・事前研究をもう少し行ってからの方が効率的な参与観察が進められると判断したためであり、予算の一部が繰り越されることになった。
|
次年度使用額の使用計画 |
事前研究に時間を活用した調査を適宜実施し、より厚みのある研究とする予定である。
|
備考 |
現在HPを継続作成しており、来年度夏位までにはWeb上で一部研究成果を展開する予定である。
|