研究課題/領域番号 |
26350790
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
渡辺 英次 専修大学, 商学部, 准教授 (10348336)
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研究分担者 |
三島 隆章 八戸学院大学, 人間健康学部, 准教授 (00461707)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発育発達 / タレント発掘 |
研究実績の概要 |
本研究は,ジュニア期からユース期に渡る選手を有するスポーツクラブに所属する選手を対象として体格,運動能力の測定を縦断的に行う.日本人に適した生物学的成熟度の推定式作成のための基礎データを収集する事で発育・発達のパターンを明らかにし,作成した推定式から得られる生物学的成熟度を基に,運動能力の発達過程をより詳細に検討する.各選手,クラブの特徴を見出し,多競技多種目のデータから競技種目の特徴的な体格,運動能力の指標を明らかにするとともに,スポーツ非実施者と比較し,スポーツ実施の効果,運動習慣獲得の必要性について各世代毎に検証する事を目的としている. 平成26年度は16種目(アイスホッケー,バドミントン,運動教室,テニス,バスケットボール,サッカー,卓球,チアリーディング,野球,バレーボール,空手,レスリング,ラグビー,陸上競技,体操,一般),90クラブ,1731名の測定を実施し,基礎データに追加することができた.基礎データは2008年から延べ8434名となった. 得られた測定結果より,形態の発育と身体の切りかえし能力を見るプロアジリティーテストの値を縦断的に追った分析では,脚長との関係で弱い正の相関が(Rxv = 0.380 ± 0.614),座高との関係では正の相関が見られ(Rxv = -0.519 ± 0.283),身長との関係は見られなかった.また,身長の相対的発育からみた体力・運動能力の発達について,男子では約150cmから165cmでは筋力の発達が体力・運動能力の発達に寄与していると推測され,一方,男女ともに約130cmまでの発育において筋の発達が急増することは認められていないため,神経系の改善が約130cmまでの体力・運動能力の発達に寄与していると推察された. ジュニア期からユース期にかけての運動習慣の有無や競技種目別の体格・運動能力の特徴を関連させる事が出来るという点でも非常に意義は高いと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度も継続して多くのクラブにご協力いただくことができた.学校行事や遠征,試合,ケガ等のタイミングで参加できなかった選手もいるが ,ほぼ継続して測定を行うことができ,多くの縦断的なデータを得ることができた.特に今年度から中高一貫校での測定を開始することができ,これらのチームはバドミントンの強豪校であり,全国からジュニア期に活躍した選手が集まる事からジュニア期からユース期までの縦断的なデータをより多くフォローできるようになった. フィードバックについても今まで通り7~10日程度で手元に届くよう,過去3回分のデータを併せて返却することができた. 被験者数の多いバドミントンについてはジュニアナショナルチームに所属している選手をピックアップし,縦断的な運動能力の特徴を分析し,発表を行えたことからおおむね順調に進展したと考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の計画に従って,原則として同じクラブの測定を同じ時期に実施する.主たる目的は縦断的なデータの取得であるので,ターゲットとなる選手をピックアップし,継続してフォローできるように若干の日程調整を行いながら多くの結果が得られるように指導者と密に連絡をとりながら遂行する.得られたデータから競技種目別の運動能力を比較し,クラブごとの特徴,競技の特徴,競技経験年数から見た特徴を調査する.あわせて日本人を対象とした生物学的成熟度の推定式を作成するため,年間最高身長増加年齢を過ぎていると思われる男女スポーツ選手を対象に,測定時の身長から年間最高身長増加年齢を推定する.この結果を用いMirwald et al.の方法にしたがって,日本人を対象とした生物学的成熟度の推定式を算出を試みる. 本研究を引き続き行い縦断的なデータを数多く得ることにより,縦断的データにウェーブレット補間法および相互相関係数を適用することで加齢変化に伴う類似性についてさらに詳細に検討できるものと考える. 被験者に依頼して過去にさかのぼってのデータ収集は難しいため,本研究で得られたデータが基礎データとなることから,測定参加チームのフォローをしっかりと行なうとともに,半年に1回の測定時に指導者とフィードバック用紙の活用方法や練習メニューについて情報交換を行ない,改良を加える予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の当初計画では測定・分析用PCの購入予定であったが,新規に参画した中高一貫校のクラブへの旅費やその調整に充てたため,その差額として繰越金が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の測定計画から,旅費についても26年度と同様の額におさまることが予想されるため,繰り越した研究費は測定会場への旅費,機材配送に伴う通信運搬費に充てる予定である.
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