本研究は,ジュニア期からユース期にわたる選手を有するスポーツクラブに所属する選手を対象として体格,運動能力測定を継続して行う.日本人に適した生物学的成熟度の推定式作成のための基礎データを収集することで発育・発達のパターンを明らかにし,作成した推定式から得られる生物学的成熟度を基に,運動能力の発達過程をより詳細に検討する.各選手,所属クラブの特徴を見出し,他競技多種目のデータから競技種目の特徴的な体格,運動能力の指標を明らかに するとともに,スポーツ非実施者と比較しスポーツ実施の効果,運動習慣獲得の必要性について各世代ごとに検証することを目的としている.平成30年度は16種目(バドミントン,レスリング,アイスホッケー,バレーボール,バスケットボール,サッカー,野球,空手,水泳,陸上,ラグビー,剣道,スノーボード,柔道,運動教室,一般),97クラブ,2184名の測定を実施し,基礎データに追加することができた.基礎データは平成20年8月開始より延べ16121名となった.測定は各クラブの練習会場で行うことで選手指導者らの負担を少なくし,継続した測定が可能となっている.また,継続して測定することでその数値の意味を知る機会を増やし,測定の意義を理解し数値を読み取ることのできるリテラシーの高い選手を数多く育成するとともに,コンディションの評価と改善,日々の活動の成果を定期的に確認できる選手が育つことも期待される.得られた測定結果より,平成30年度は国際学会3題の成果発表を行った.令和元年度においても国際学会は1題決まり,今後も測定を継続し定期的に結果を発表していく予定である.
|