研究課題/領域番号 |
26350792
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
栗山 雅倫 東海大学, 体育学部, 准教授 (80408004)
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研究分担者 |
田村 修治 東海大学, 体育学部, 教授 (30266449)
藤井 壮浩 東海大学, 体育学部, 講師 (20514920)
陸川 章 東海大学, 体育学部, 教授 (70338739)
藤本 元 筑波大学, 体育系, 助教 (30454862)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ハンドボール / 戦術的能力 / グループ / 戦術学習 / 状況解決能力 / 指導者 |
研究実績の概要 |
1.研究の動機・目的と研究実施内容 本研究は、ハンドボール競技を題材として、グループ戦術的能力の規定因子を状況解決能力に着目して検討し、戦術的能力の評価を実施することで、その妥当性を検討した上で、効果的な戦術学習に寄与することを目的として開始した。平成26年度に特化した目的は、グループ戦術的能力の規定因子の検討を実施することとし、インタビュー調査を実施した。「ハンドボール競技国内トップ指導者のインタビュー調査」として、国内トップリーグの指導者、ナショナル各カテゴリーのコーチングスタッフ経験のある指導者を対象とし、主に、状況解決能力に関することとして、状況解決能力の1)重要性、2)評価できる具体的状況、3)トレーニング手段、についてインタビュー調査を実施した。 また、「ハンドボール以外の球技種目の状況判断能力に関する調査」として、バレーボール、 バスケットボールのトップ指導者を対象に、ハンドボール指導者と同様の内容にてインタビュー調査を実施した。 2.主な結果と研究の意義・重要性 調査対象とした、すべての指導者において戦術的能力の重要性を認めており、それぞれの観点に基づき、グループ戦術的能力について評価を実施している。また、特にハンドボールのトップ指導者の傾向として、グループ戦術的能力の規定因子について、状況を観察し認知する能力、状況を先取りする能力、そしてグループとして状況を共有する能力等について、特に重視していることが明らかとなった。一方で同じ球技種目であっても、競技によって戦術的能力に関する認識が異なることが認められた。 一般的に重要な位置づけとして認知されていた「戦術的能力」に対する、トップ指導者による事実的な位置づけや認識が明らかになったことや、その能力に関し、指導者間に類似した観点が認められたことは極めて意義が高いことと捉えられ、研究の重要性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3ヵ年による完結を計画しており、研究初年度の平成26年度は、「グループ戦術的能力の規定因子に関する検討」について行った。 具体的には、ハンドボール競技のトップ指導者19名と、他競技のトップ指導者として、バスケットボール競技のトップ指導者1名と、 バレーボール競技のトップ指導者1名へのインタビュー調査を完了している。 インタビュー調査はあらかじめ用意した質問項目に基づいて、いずれの調査対象者に向けても同様の質問内容を用いて実施し、各調査 対象者からの類似点、あるいは相違点を明確にすることができた。このことは、3カ年計画である本研究の基盤となるステップを確実 にクリアできたことになり、研究全体を計画的に遂行していくために、極めて重要な機能を果たしたと捉えている。
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今後の研究の推進方策 |
3ヵ年の研究計画であり、三段階に分けた研究の遂行を計画している。 第一段階として「グループ戦術的能力の規定因子」を導き出し、第二段階において「パフォーマンスと導き出した規定因子との関係性」を明らかにし、研究の最終段階で、「規定因子の妥当性とトレーニング手段の検討」を行う計画である。 平成26年度は第一段階を概ね予定通り完了しており、研究計画2年目にあたる第二段階の遂行を計画している平成27年度は、「グループ戦術的能力の実験的調査」を行うために、映像の視聴による戦術的立案能力の調査と、同じく映像の視聴による状況認知および判断能力、状況および解決手段共感能力の調査を実施する予定である。また、研究計画最終年度にあたる平成28年度においては、研究最終段階として、「規定因子とトレーニ ング手段の検討」を行う計画である。 本年度の具体的な推進計画としては、「映像提示による戦術的立案能力および状況と解決手段の共感能力とパフォーマンスの関係に関する実験調査」を行い、インタビ ュー調査で得た、グループ戦術的能力を評価できる状況より、複数の状況を実験的に作り出し、撮影の上、被験者に提供する。被験者は、考えられる状況解決手段を記述する。記述用紙は、図式化による記述と、補足的に言語による記述をする。また、ハンドボールの攻撃に おけるグループ戦術的なミニマムエッセンスを含むと思われる3:3状況を実験的に作り出し、記述実験と同様の被験者が攻撃する。これを撮影したものを、動作解析法によるアプローチと、二次元DLT 法を用いて座標化し、DKH 社製ハンドボール分析プログラムを用いたもの による、パフォーマンス能力の評価を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定の「グループ戦術的能力の規定因子検討に関する調査」が数件来年度へ延期された為、それにかかわる被験者への謝金および調査データの処理作業に対する謝金が残った為。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度の予算と合わせて使用する予定である。 「グループ戦術的能力の規定因子検討に関する実験」においては、ハンドボール種目を専門競技種目とするアスリートを被験者として依頼し、その謝金として20万円を計上しており、その実験データの処理作業に対する謝金として20万円計上している。 また、共同研究者等との検討会議に関する費用として20万円計上している。
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