研究課題/領域番号 |
26350793
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
内田 匡輔 東海大学, 体育学部, 准教授 (00407983)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 星槎グループ / 生活習慣の改善 / メンタルヘルス / 個人差 |
研究実績の概要 |
本研究の遂行にあたり、26年度は、星槎グループの会長、宮澤保夫氏との計画の確認した。更には現在、国際学園のもとに中学校や高等学校が展開されていることから、理事長や星槎大学の学長でもある、井上一氏と打合せを行ない、3年計画で実施する本研究の方針を再確認した。確認事項として本年度は、授業実施に向けた生活・運動習慣調査や予備授業実践の実施、カリキュラム制定に向けた研究会の実施を目的としていた。 まず、本年度は、グループ全体の生活習慣調査を実施し、生徒の現状を確認することができた。グループ全校舎30校に質問紙を郵送し、12校705名の生徒から回答を得る事ができた。2008年度に実施した生活習慣調査と比較し、朝食喫食率の改善や睡眠時間の適正化が見られた。しかしながら、メディアの利用時間は長時間化に歯止めがかかっていない状況も明らかになった。更には、メンタルヘルスでも「仲間」や「抑制不安」といった回答で特徴が見られた。また、予備授業実践では、3回にわたって(2014年11~12月)研究授業を行なった。この授業では、インクルーシブな教育を意識した授業実践として、体つくり運動ドリルを実施した。授業では「GOODマーク」という一定の技能が高いと評価した生徒にマークを貼ることが、運動課題達成に変化をもたらすかを実験的に行なった。対象とした中学2、3年生でそれぞれ効果が異なり、2年生では向上が見られたが、3年生では特定の生徒で効果が見られた。この結果から、生徒個人の背景にある体育やスポーツへの意識も調査対象とすべきであることが明らかになった。 協力教員との打合せを合計4回実施し、年間計画や授業教材の配当等、現段階でのカリキュラムの検討を行い、必要な教材教具の確認や学校行事との兼ね合いで、授業実施が難しい日程等の確認を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画は概ね順調に進展しており、特に質問紙を中心とする調査を協力グループの意向もあり、予定年度よりも早く実施することもできた。しかしながら、一方で歩数計を用いた授業実践については、使用機器に不調、不足が目立ち、運動量の測定という部分では、計画とは異なる結果となった。 また今回対象としたグループ校の校舎の生徒の特徴として、文章理解や読解に困難さを抱えており、質問紙として予定していた内容での評価が妥当性を欠く可能性があった。そこで、授業評価の指標として、映像による変化を加え実験的な授業実践に変更し、予定通り授業を行い、成果と課題をえる事ができた。 よって、現在までの達成度は、全体としては概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主たる目的である全ての児童生徒が必要とする保健体育授業のあり方を提案するために、本年度は予定していたアダプテッド・スポーツを用いた授業実践を行い、その成果について明らかにする。授業実践に際し、評価の指標として先行研究との比較を行なうと同時に、個人の体育やスポーツに対する意識調査を実施し、個人差に配慮したプログラム設定の可能性について吟味することとする。 また、予定していた歩数計を用いた身体活動量の調査実施や心拍数計を用いた授業実践等を同時に実施し、生理学的な指標を用いた授業評価の可能性についても検討を行う。 これらの実験的な授業定期化に向け、単元計画策定に向けた授業担当者や学校運営者との研究会を行なう。また、実施した授業評価並びに生徒指導の観点も含めた専門的な立場から意見を聴取し、更なる授業改善に向けた具体的な取り組みを行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、「謝金の取扱」と「機器の整備」の2点が挙げられる。まず、「謝金の取扱」については、協力校や当該教諭によって、協力に関する謝金ということに慣れておらず、口座の開設や管理職との連絡が充分にとる事ができなかったこと挙げられる。本研究に協力校である星槎グループ各校の教諭は、授業研究等に非常に協力的であるが、一方で、協力の対価として謝金授受があることに、やや抵抗を感じており、本研究遂行の上で更なる理解を求め、年度末に打合せを行なった。 また「機器の整備」については、使用予定である歩数計が、本学研究室間で共有している機材のため、使用可能個数の確認が、各研究終了後で異なるため、不調機器の確認が遅れたことが原因であった。
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次年度使用額の使用計画 |
まず、次年度使用額の使用計画として、歩数計の整備を進めることを第一としている。昨年度不調であった歩数計の個数確認が終了し、10台程度の補充で研究遂行に向けた整備が整うと把握できたことから、歩数計補充に充当する予定である。また、謝金については、本年度以降では、理解の徹底を促し、問題解消に努め、謝金授受がスムーズに取り扱われると考えている 既に、本年度は、9回の授業視察と研究授業を予定しており、年度当初の予定として組み込むことができている。この計画に沿って進めることで、本年度問題は解消するものと考えている。
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