本研究の目的は、全ての児童生徒が必要とする保健体育授業のあり方を提案する事であった。特に、本研究は、星槎グループ各校の協力をもとに進めることが特徴であった。 まず、初年度は協力校の実態を明確にすることとした。グループ全校舎に郵送法での質問紙調査を実施し、12校705名から回答を得ることができた。2008年度に実施した調査と比較し、グループ生徒の実態として「朝食喫食の改善」「睡眠時間の適正化」という結果が見られた一方で「メディア利用の長時間化」「メンタルヘルスの不安定さ」という状況が明確になった。 また、こういった実態のある生徒を対象に、運動課題達成を目的とした授業実践に対して形成的授業評価や運動有能感調査をおこなった結果、中学2年生では高なるた一方で、3年生では評価が伸び悩むという結果が得られた。 2年目には、初年度の質問紙調査を精査し、対象校には「多動傾向の強さ」「運動実施が与える影響」があることを確認した。この実態を踏まえて、担当教諭への半構造化インタビューを実施し、「生徒の脆弱なスポーツ体験」という問題があることや、「体験のないスポーツの教材化の必要性」さらには「指導者の主観」が存在していることも明確になった。こういった結果に対して、心拍数計や歩数計を用いた授業実践を行ったが、授業評価において統計的な有意差を得ることはできなかった。 3年目には、授業実践をグループ全体で共有し、生徒の実態理解や、生徒の行動や動作特徴を分析し活用などを研修するために「星槎保健体育授業研修会」を2016年9月24日に開催した。この研修会での意見交換を通して、共生社会を目指すための授業のユニバーサルデザインとして、保健体育があるべき姿を確認し、パラスポーツを取り入れた授業実践を行うなど、研究授業を重ねた。 4年目は過去の実践を整理し、報告書としてまとめ、全ての協力者に配付にした。
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