研究課題/領域番号 |
26350794
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
橋口 泰一 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (90434068)
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研究分担者 |
大嶽 真人 日本大学, 文理学部, 教授 (90338236)
伊佐野 龍司 日本大学, 文理学部, 助教 (00734112)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 障がい者スポーツ / コーチング / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本課題研究では,ブラインドサッカー(全盲)選手と晴眼者であるゴールキーパー・ガイド(コーラー)について,量的・質的アプローチによる調査を用い分析を行う.26年度の調査および分析内容について検討を行い,ブラインドサッカー日本代表がリオデジャネイロ2016パラリンピック出場に向け,「アジア圏諸国」を対象に重点的に分析を行った.日本の現状を把握した上での,競技力向上への提言を行った. 「インチョン2014アジアパラ競技会」における日本代表および各国代表の映像分析については,日本ブラインドサッカー協会の協力のもとインチョン(韓国)にて撮影した映像を対象とした.「ブラインドサッカー世界選手権2014」「2015ブラインドサッカーアジア選手権(リオパラリンピック・アジア最終予選)」については,競技会の運営上,競技会場にカメラを持ち込みことが禁止されていたため,日本ブラインドサッカー協会より映像(放映用動画含む)を購入し分析対象とした.これらの映像をもとに量的な分析では,試合時のシュートに至る経緯および守備の状況についての分析を実施し,関連学会にて研究発表を行い様々な角度から多くの知見を得ることができた.質的な分析ではゴールキーパー・ガイド(コーラー)と選手の言語イメージについて基礎的なインタビューを行った.なお,各国の分析については,試合映像や音声データをもとに行ったが,言語イメージの分析についてはインタビュー内容等,質的分析方法について専門的な知識の提供を含め,今後のデータ収集ならび分析に関する貴重な資料を得ることができた.日本ブラインドサッカー協会およびアダプテッドスポーツ関係者と研究の進捗状況および情報交換を緊密に行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は,インチョン2014アジアパラ競技会およびリオパラリンピック・アジア最終予選,世界選手権における日本代表および各国代表の映像分析について,試合時のシュートに至る経緯および守備の状況についての分析,ゴールキーパー・ガイド(コーラー)と選手の言語イメージについて基礎的なインタビューを行った. 残念ながら日本はリオデジャネイロパラリンピックに出場することができなかったため,日本とアジア上位3カ国(中国,イラン,韓国)における分析についても同時に実施した.平成26年度に実施できなかった各国の分析を中心に行うことができた.分析に用いたデータは,2014年度に現地にて撮影を行った「インチョン2014アジアパラ競技会」と,日本ブラインドサッカー協会より購入した「ブラインドサッカー世界選手権2014」「2015ブラインドサッカーアジア選手権」の映像(放映用動画含む)を分析に用いた.しかしながら,インタビュー調査に関わる内容については,研究の予備調査にとどまり,当初の予定よりも進めることができなかった. なお,研究発表は関連学会にて,ゲーム分析を中心にゴールスローおよびドリブルを起点としたプレーに関する分析ついて日本ならびアジア各国の比較を行い様々な角度から多くの知見を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度および27年度に行った「インチョン2014アジアパラ競技会」および「リオパラリンピック・アジア最終予選」における日本代表および各国代表の映像から試合時の攻撃および守備の状況について量的な分析を引き続き実施する.同時に質的分析として,ゴールキーパー・ガイド(コーラー)と選手の言語イメージについて基礎的なインタビューについて,攻撃および守備の連携として重要な要因について調査および分析内容について検討を行い,結果の検証と強化対策の構築を目指す.平成28年度の量的分析では,リオデジャネイロ2016パラリンピックが行なわれる年であり,これまでに実施してきた分析とともにパラリンピックでのゲーム分析から今後日本代表が強豪国の仲間入りするための強化策を検討する.質的分析では,攻守の基点となるゴールキーパー・コーラーと選手における個々の試合時における言語指示内容の違いや言語イメージの共有などを検証し,実際のプレーへの一致についての検討やコーチングに関わる基礎的な資料を得る. これまでの分析結果から,日本ブラインドサッカー協会が掲げている目標である「東京2020パラリンピックでのメダル獲得」に向けた日本代表の言語教示システムとプレースタイルの提案と行うとともに,アジア強豪国の対策について分析・提案を行う.リオデジャネイロ2016パラリンピックにて,出場国のゲーム分析を行い,世界強豪国とアジア強豪国,リオデジャネイロパラリンピック最終予選における日本代表のプレーとの比較を行う. 研究発表については,アダプテッドスポーツ関係者と研究の進捗状況および情報交換を緊密に行い,これまでの分析について関連学会への成果発表ならび論文投稿を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は,26年度に収集した映像データを分析・整理することを主に実施したが,量的データの分析について当初の予定に比べてデータ入力や分析データの整理に時間がかかってしまった.その結果,質的分析に関する項目について,選手やガイド・コーチへの基礎的な言語イメージについてのインタビュー調査にとどまってしまった.しかしながら,インタビュー調査に関わる内容等の質的分析方法について,日本ブラインドサッカー協会(松崎英吾氏等)や関連領域の研究者との打ち合わせ等を実施し,平成28年度に調査する上での有用な資料を得ることができたことから,28年度の調査・分析に活かしていく.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度までの分析内容について引き続き検討を行い,これまでの映像ならび音声データをもとにアジア強豪国を中心とした分析を行う.またリオデジャネイロ2016パラリンピックにおける映像データの収集を行い,強豪国の映像データの分析を行う.また,これまで基礎的なインタビューにとどまっていたゴールキーパー・ガイドと選手における個々の試合時における言語指示内容の違いや言語イメージの共有などを検証し,プレーへの一致やコーチングに関わるインタビュー調査を実施し分析を行う.これらを実施するには,選手はもちろんのこと,コーチや競技団体など多くの関係者の理解が必要となる. 以上のことを踏まえ,練習場ならび試合会場等への旅費,インタビューデータのテープ起こし,映像購入や編集費用,調査関わる消耗品費などの経費が必要となる.そして,調査を実施する上でのデータ整理や分析に関わる研究補助者に対する人件費も計上される.
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