1930-80年代の米国フィジカルカルチャー誌を資料として男性身体の理想がセクシュアリティ化されてゆく過程を分析した。その結果、1930-50年代のPC誌では男性身体の理想がセクシュアリティ化されておらず、多様な欲望の対象として共有されていたこと、60年代にかけて非ヘテロセクシュアリティ要素を払拭し、急速に異性愛化したことが明らかになった。こうしたな男性性のヘテロノーマティヴ化を促したのは、この時期進んだ“同性愛者”の可視化による、逆説的な異性愛アイデンティティの自覚化であった。また、1950年代以前のPC誌における表象は、異/同性愛で分断されないホモソーシャル連続体の可能性を示唆している。
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