研究課題/領域番号 |
26350802
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金山 千広 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (10321150)
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研究分担者 |
中西 純司 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90243849)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 公共スポーツ施設 / 障害者優先スポーツ施設 / サービス方略 / 組織特性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域の公共スポーツ施設において障害者がスポーツを実施するための方略を検討することである。利用促進には、公共スポーツ施設の障害者に対するサービス方略が関与する。調査は国内の障害者優先スポーツ施設すべて、1、日本障がい者スポーツ協会加盟の障害者優先スポーツ施設25施設、2、日本障がい者スポーツ協会非加盟の障害者優先スポーツ施設89施設、3、一般公共スポーツ施設(政令市、中核市、特例市、特別区からプール、ジムアリーナを有している109施設を対象に、郵送法により実施した(調査期間2015年12月~2016年1月)。回収率はそれぞれ1該当が19施設(73%)2該当が64施設(回収率73%有効回答62施設有効回答率70%)3該当が52施設(48%)であった。 サービスの方略には「有形化」「同期化」「同一化」「システム化」「同質化」の5つが存在する(中西2006)。3つの施設タイプ別に5つのサービス戦略を比較したところ、2、日本障がい者スポーツ協会非加盟障害者優先スポーツ施設が低い結果となった。サービス方略は施設規模に影響されることから、1、日本障がい者スポーツ協会加盟障害者優先スポーツ施設19施設にクラスター分析(ウォード法平方ユーグリッド距離)を施し、得られた樹状図より4つにグループ化した。それぞれ、同質化強調型7施設、非戦略型5施設 有形同一、システム強調型3施設 同期強調型4施設が属した。同質化強調型はグループ内での情報収集力が高く、同一化システム強調型は組織構造での複雑性が高いことが明らかになった。今回調査対象となった公共スポーツ施設は、いずれも組織特性の集権化が低く、ヒューマンサービス施設として現場のスタッフが利用者に合わせてフレキシブルな対応を図っている。サービス概念が乏しい2、日本障がい者スポーツ協会非加盟障害者優先スポーツ施設が今後の鍵になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
公共スポーツ施設を網羅した調査は2015年に終えた。ただ、予定していた2次調査が進んでいない。障がい者スポーツ協会加盟障害者優先スポーツ施設は、障害者スポーツの専門機関であるがゆえに、利用者を対象にサービス品質評価並びに利用満足度調査を実施する予定である。また、障がい者スポーツ協会非加盟障害者優先スポーツ施設は、施設独自でサービスの創出が難しいことが明らかになった。そのため、組織の連携先に対する調査を再度実施予定である。本調査を含めた共著が2冊発行されている。また、日本体育学会学会大会にてシンポジウムを2本担当した。 2015年から文科省「地域における障害者スポーツの普及に関する専門委員」を委嘱され、同年「障害のある児童生徒の体育活動における調査研究」を併任した。また、2015~2016年度分の科研審査員を担当した。障害者スポーツの政策強化に伴う招聘が圧倒的に増えた。2016年度は、次世代育成を目指して大学を移籍し、厳しい中で2次調査を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
日本障がい者スポーツ協会加盟障害者優先スポーツ施設については、利用者を対象とした調査を進めている(既に1施設は実施済)。日本障がい者スポーツ協会非加盟障害者優先スポーツ施設の2次調査については、再度調査票を配布し、連携先についての調査を施す予定である。また、ヒアリング調査の必要性を感じている。一般公共スポーツ施設は日本障がい者スポーツ協会加盟障害者優先スポーツ施設と同様の利用者を対象とした調査を進める予定である。日本体育学会にて、日本障がい者スポーツ協会非加盟障害者優先スポーツ施設のインクルーシブな活動と組織特性の関係を発表予定である。6月に開催されるThe Organizing Committee for the 2017 International Symposium of Adapted Physical Activity(ISAPA2017)にて“Service strategies of sport facilities for persons with disabilities in Japan: Current status and issues viewed from organizational characteristics”がアクセプトされた。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年から文科省「地域における障害者スポーツの普及に関する専門委員」を委嘱され、同年「障害のある児童生徒の体育活動における調査研究」を併任した。また、2015~2016年度分の科研審査員を担当した。障害者スポーツの政策強化に伴う招聘が圧倒的に増えた。本年度は、専門演習を担当して、次世代を担うアダプテッドスポーツのジェネラリスト育成を目指して大学を移籍し、厳しい中で、2次調査を進めている。国際学会(イスラエル)を見送ったこともあり、補助事業期間延長を希望し、承認された。
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次年度使用額の使用計画 |
21stInternational Symposium of Adapted PhysicalActivity(isapa2017) June 12~16, Daegu Korea に Service strategies of sport facilities for persons with disabilities in Japan:Current status and issues viewed from organizational characteristicsでアクセプトされた。2次調査を進めて、日本障がい者スポーツ協会主催「第1回障がい者スポーツ関係学会合同コングレス(於早稲田大学)」12月9-10日開催に発表予定である。
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