本研究の目的は、プロサッカー選手や日本代表選手を養成する過程において、各年代で行われる選手選考のための客観的な指標を体格、体力、技術の複数の側面から確立し、検証することである。この目的を達成するために、本研究では、プロサッカークラブの中学1年生チームから高校3年生チーム(U13~U18)までの計6学年の選手の身体測定、体力測定、発育期の推定と試合分析(各チーム最低3試合が目標)を行うことを計画していた。具体的には、身体測定では、身長、体重と座高を測定し、体力測定では、30メートル走、アジリティ走と持久走を行う。試合分析では、運動量と技術面の分析を行う。体力面の分析には、グローバル・ポジショニング・システムを用いて、試合中の移動距離と速度を測定する。技術面の分析は、ビデオカメラにより録画した試合映像を用いて行う。 平成30年度は、U13~U18各チームの試合分析を十分行うことができ、1チーム当たり5~7試合分のデータ収集を行うことができた。また、身体測定や体力測定も予定通り行うことができた。 平成27年と28年のデータを基に、U13 からU18選手を対象に執筆した試合中の技術的側面の成長に関する論文が、平成31年1月に受理された。また、U13 からU18選手を対象に、試合中の運動量の成長を横断的に分析した論文が、近日中に受理されると思われる。これらの研究により、中学1年生から高校3年生にかけて、試合中の技術的なイベントの頻度やパス精度、高速度での移動距離が向上することが明らかになった。これらの結果は、サッカークラブの指導者が、選手選考を行う時などに役立つと思われる。また、選手の年齢に適した練習内容(強度や技術的な難度)を決めるために有用であると思われる。 現在は、体格、体力や技術的要素に対する発達期の影響や成功を収めたものと収められなかった者の違いに関する論文を執筆中である。
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