研究課題/領域番号 |
26350806
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研究機関 | 北翔大学 |
研究代表者 |
千葉 直樹 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (20389662)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 体罰 / バスケットボール / 暴力 / 指導信条 |
研究実績の概要 |
27年度は、26年度3月に行ったバスケットボールの指導者を対象とした質問紙調査の 分析を行った。調査結果から、指導経験のない回答者の20~30%程度の者が「平手でたたく」、「ボールなどを投げつける」、「罰として長時間トレーニングやらせる」などという「体罰」を選手時代に経験したことが明らかになった。この調査から、ほとんどの受講者が「体罰」に否定的な態度をとっている一方で、日本体育協会のガイドラインの存在を知らず、体罰事件の影響を受けていないと回答したことが明らかになった。研究代表者は、6月にフランスで開催された国際スポーツ社会学会でこの調査結果について発表した。この学会での発表を通して、イギリスの研究者から学校やスポーツ現場における暴力行為の状況を知ることができた。今後の国際比較研究に生かしていきたい。 27年度3月には、高等学校総合選手権大会でベスト32以上に進出した19都道府県の指導者を対象に、郵送調査を行った。回答者の40.1%は、選手時代に指導者からの暴力行為を受けていた。また22.1%の指導者が2012年12月以前に暴力行為を選手に行ったことがあると回答した。一方で、2013年1月以降の時期では、5.8%の指導者が暴力行為を行っていた。この結果から、2012年の「体罰」事件以降に、暴力行為を行うバスケットボール指導者の数が少なくなったと考えられる。しかし、暴力行為の範囲を「ボールを投げつける」、罰走、暴言という項目まで拡大すると、28.8%まで暴力行為を行った指導者の比率は高くなった。以上の結果から、「拳で殴る」や「平手打ち」等の暴力行為は少なくなった一方で、暴言や身体的な苦痛を伴う懲戒などは依然として一部の高校バスケ部で行われていることが示唆された。さらに、先行研究の指摘通りに、暴力指導を受けた指導者ほど、選手に暴力行為を行う傾向が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、27年度に海外での「体罰」に関する事例を調査する予定であったが、国内の調査の遂行に時間がかかり、海外での調査を行うことができなかった。特に研究代表者が勤務校での所属部署が変更になったために、多忙になり、予定通り調査を進めることができなかった。しかし、日本の高校バスケットボール指導者を対象とした質問紙調査は予定通り行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、8月に日本体育学会で3月に行った質問紙調査の結果を発表する予定である。また11月には北米スポーツ社会学会でこれまでの研究成果を発表する予定である。12月から1月にかけて28府県の高校のバスケットボール指導者を対象とした「体罰」に関する質問紙調査を行う予定である。さらに27年度2月にアメリカのバスケットボール指導者に対する質問紙調査とインタビュー調査を行う予定である。また12月から3月にかけて、日本尾バスケットボール指導者への「体罰」に関するインタビュー調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度3月に全国規模の質問紙調査を行うために研究費を10万円前倒し申請をした。質問紙の返信を料金後納郵便を利用して行った。料金後納郵便を利用すると、料金の申請は翌月以降の請求になり、調査実施が28年度3月であったために、4万4346円の研究費を残した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額のうち、3万円程度を料金後納郵便の郵送代に使い、残りの金額は、データ入力の人件費として使用する予定である。
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