研究実績の概要 |
脳梗塞を念頭においた脳虚血障害の回復を目的とし, 運動療法により脳内の血管壁に存在する血管幹細胞を活性化させ、血管内皮細胞, 周皮細胞, 樹状細胞への分化, 増殖が促進し、虚血脳障害に対する血流回復効果を成体(マウス)で明らかにする基礎的研究を遂行した. 10週齢のマウスの片側内頸動脈閉塞による脳虚血モデルを作製し、患側脳の血流障害を惹起させ、トレッドミルによる運動を負荷した。その結果、脳虚血発症後早期の運動療法群では、患側脳の微小血管の数(密度)が1週後に1.4倍、2週後に2.0倍、4週後に1.9倍に増加した。脳虚血障害に対する早期運動療法の血流回復効果が示唆された。 一方、慢性脳虚血12ヶ月後に運動療法を施行した晩期の運動療法群では、患側脳の微小血管の数(密度)が1週後は増加しなかったが、2週後に1.4倍、4週後に1.4倍に増加した。慢性脳虚血障害においても晩期の運動療法による血流回復効果効果が示唆されたが、発症後早期の運動療法に比較すると限定的と考えられた。今後も血管幹細胞の動態および微小血管新生の解析を加え、研究を続ける予定である。
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