研究課題/領域番号 |
26350812
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西平 賀昭 筑波大学, 体育系(名誉教授), 名誉教授 (20156095)
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研究分担者 |
八田 有洋 東海大学, 体育学部, 准教授 (20312837)
麓 正樹 東京国際大学, 人間社会学部, 准教授 (40339180)
碓井 外幸 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (60389822)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 有酸素運動 / 認知機能テスト / 注意機能 / 体性感覚誘発電位 / 高強度筋感覚情報 / 中枢内感覚経路 / 高齢者 / 軽度認知障害者 |
研究実績の概要 |
今までの研究で30分間の有酸素運動後,数秒間の最大筋力40~50%の程度の筋力維持や座った状態で認知機能を反映すると考えられているP300電位を測定した結果,運動群高齢者が運動習慣を持たない高齢者よりも有意に高振幅を示すことを確認した。さらにN140電位はいくつかの感覚情報を与え運動させた方が運動群高齢者,運動習慣を持たない高齢者両群とも振幅が増加を示し,皮膚,関節などからの感覚情報は中枢内感覚経路に変容をきたしていることを確認した。また平成27年度は,認知機能テストの1つであるペグテスト移動時間は筋電図反応時間(EMG-RT),P300電位潜時と有意な相関があることを確認した。 そこで平成28年度は高齢者や軽度認知障害者10名を用い,30分間の有酸素運動後,数秒間の最大筋力40~50%の程度の筋力維持し,高強度の筋感覚情報を中枢に与えた状態で手首の正中神経から電気刺激を与え中枢内を経過していく体性感覚反応を体性感覚誘発電位で捉え,注意機能をN140電位で測定し高齢者や軽度認知障害者の認知機能向上には有酸素運動の他に高強度の筋感覚情報の重要性を確認することであった。その結果,最大筋力40~50%の程度の筋力を維持した後の体性感覚誘発電位成分のN18-20電位,N30-32電位は著明に増加し,N140電位も著明に増加を示した。体性感覚誘発電位成分のN18-N20電位は脳内の視床から感覚野までの興奮性の変化を示し,N30-32電位は脳内の体性感覚野の変化を示していることが明らかにされているので最大筋力40~50%程度の筋力維持,つまり高強度の筋感覚情報は脳内の感覚認知機能を改善することが推察される。従って高齢者や軽度認知障害者の認知機能向上・回復には有酸素運動ばかりではなく,最大筋力40~50%程度の高強度と称されている筋力維持の運動処方が是非必要であることが推察される。
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