研究実績の概要 |
サルコペニア (加齢性筋減弱症)は、様々な因子により影響を受ける。オートファジー不全によりサルコペニアが促進される可能性が高い。我々の先行研究では、オートファジーに関係するp62/SQSTM1はマウスの加齢筋線維に異常沈着するものの、それと協力して働くLC3は活性化していない (Sakum K, et al., p62/SQSTM1 but not LC3 is accumulated in sarcopenic muscle of mice. JOurnal of Cachexia, Sarcopenia, and Muscle 7(2): 204-12, 2016)。 このオートファジー不全には、運動、カロリー制限あるいは低タンパク質食で軽減される可能性が高い。昨年度の研究で、20ヶ月齢マウスに4ヶ月間の低タンパク質食摂取を行ったところ、筋重量、筋線維横断面積の有意な差は認められなかった。サルコペニアには小胞体ストレスも影響する可能性がある。興味深いことにレスベラトロールは、小胞体ストレスを調整し、骨格筋に影響を与えるようである (Skrobuk et al., Diabetologia 55(11): 3051-60, 2012)。サルコペニアの簡便なモデルである除神経を用いて、レスベラトロール投与による筋萎縮軽減効果を調べた。2週間のレスベラトロール投与により小胞体ストレスの量は軽減され、筋線維の萎縮は有意に高値を示した。またレスベラトロール投与により、オートファジー関連物質p62/SQSTM1の発現量が有意に低下した。以上のことからレスベラトロール投与は、小胞体ストレスおよびオートファジーを調節し、サルコペニアを軽減する可能性が示唆された。今後さらなる検証が必要である。
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