研究課題/領域番号 |
26350821
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研究機関 | 桐蔭横浜大学 |
研究代表者 |
桜井 智野風 桐蔭横浜大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30235220)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 損傷 / 治癒 / エストロゲン |
研究実績の概要 |
HSP Familyの1つであるHSP70発現にエストロゲンが関することが報告されている。Zainらは、雄ラットおよびエストロゲン投与した雄ラットの内側広筋における運動24時間後のHSP70発現を比較したところ、エストロゲン投与雄ラットに比べ、何も投与しない雄ラットでHSP70発現が著しく高かった。卵巣切除した雌ラットおよび卵巣切除したのちエストロゲン投与した雌ラットのヒラメ筋で平常時および運動24時間後でのHSP70発現には差があり、特に筋線維タイプに影響を受ける。またエストロゲンによるHSP70の発現は、平常時には発現を促進、運動後は抑制し、それらは特にタイプⅠ線維で著しかった。これらの先行研究から、エストロゲンのHSP70への関与が運動により変化することが考えられる。しかし、運動によりHSP70発現が変化するのであれば、損傷をうけた骨格筋の修復過程においてもその発現にエストロゲン等の性ホルモンの影響、すなわち性差が存在する可能性が考えられる。そこで本研究では、損傷を引き起こした骨格筋におけるHSP70とエストロゲンの関連を観察することにより、損傷筋の修復過程における性差について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HSP70はほぼ全ての生物に存在するタンパク質であり、平常時は分子シャペロンとして体内で機能するが、運動を行うことによりその発現が促進される。骨格筋に損傷を伴う運動を行うと、その損傷筋の修復過程には様々なタンパク質が発現する。その1つとしてHSP70が存在し、損傷骨格筋の修復に関与する。このHSP70発現には性ホルモンであるエストロゲンが影響を及ぼしていることより、本研究では損傷筋の修復過程におけるエストロゲンの影響を、HSP70発現を指標として検討を行った。その結果、エストロゲン投与した雄ラットでは何も投与しない雄ラットに比べ、損傷筋の修復過程で早期からHSP70発現を促進することがわかった。このことからエストロゲンを投与したラットの損傷筋において、筋損傷治癒過程には女性ホルモンが影響を及ぼしている可能性が示唆された。このように損傷筋の治癒には男女差が存在することが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今回平常時においてコントロール群とエストロゲン投与群でHSP70発現に差がみられなかったことは、対象筋にTypeⅡ線維を用いたことがその一因となっていた可能性があるために、再検討が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会発表原稿作成時に、研究途中に当初予定していた結果を得られないことが判明した。再検討の結果、研究内容・方法を見直す必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
麻酔下で右足の前脛骨筋に0.5%塩酸ブピバカイン(bupivacaine hydrochloride)5mlを3箇所に分け注射し損傷筋を作成した。今回使用した塩酸ブピバカインは(BPVC)は長時間作用性の局所麻酔剤で、神経膜のナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝道を可逆的に抑制し、一時的に知覚神経および運動神経を遮断する。また、本剤は筋細胞膜を破壊することで注入箇所に強い壊死を引き起こすが、筋細胞の基底膜、血管、末梢神経、神経接合部は破壊されないため、再生線維形態の均一した再現性を確かめる必要がある。
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