研究課題/領域番号 |
26350823
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研究機関 | 至学館大学 |
研究代表者 |
村上 太郎 至学館大学, 健康科学部, 教授 (10252305)
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研究分担者 |
恒川 春香 至学館大学, 健康科学部, 助手 (60723822)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アミノ酸輸送体 / ロイシン / 筋肉 / ギプス固定 |
研究実績の概要 |
【目的】 Mammalian target of rapamycin complex 1 (mTORC1)の活性化には特にロイシンが関与し、たんぱく質合成の翻訳段階を活性化する。筋肉が萎縮する時、mTORC1の活性が低下しロイシンの輸送に関わるアミノ酸輸送体の発現が低下する可能性が考えられる。そこで本研究では、ギプス固定によって筋肉が萎縮する際ロイシンの輸送に関わるL-type amino acid transporter 1 (LAT1)、CD98およびSodium-coupled neutral amino acid transporters 2 (SNAT2) のmRNAの発現が低下するか否かを明らかにすることを目的とした。 【方法】 10週齢のSD系雄ラットをCon群とギプス固定群に分けた。ラットはギプス固定1、3、および7日後に24時間の絶食後、屠殺した。下肢筋群におけるLAT1、CD98およびSNAT2のmRNAの発現をqRT-PCR法を用いて定量した。また、mTORC1の活性の指標としてeukaryotic initiation factor 4E-binding protein1 (4E-BP1) とS6 kinase 1 (S6K1) のリン酸化の度合いをウエスタンブロット法で定量した。 【結果と考察】 ギプス固定によって腓腹筋は萎縮したが、前脛骨筋と長趾伸筋は萎縮しなかった。LAT1 mRNAの発現は、腓腹筋と長趾伸筋では固定3および7日後に、前頸骨筋では1、3および7日後にそれぞれ増大した。4E-BP1とS6K1のリン酸化は、腓腹筋と前頸骨筋のいずれでもギプス固定によって増大した。以上の結果は、ギプス固定によって筋肉が萎縮する過程において、たんぱく質の合成が高まるとともに、ロイシンの取り込みがL-タイプアミノ酸輸送体特異的に増大する可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筋肉のアミノ酸輸送体のmRNAの発現は安定して定量できるようになったが、たんぱく質の定量は作製した抗体の特異性に難があり、依然としてできていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き筋肉のアミノ酸輸送体のたんぱく質の発現が定量できるように、条件を修正しながら実験を重ねる。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度末に研究費が不足する可能性があったため40万円を前倒し申請したが、全てを使用しなかったために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究全体を通して必要な研究費は前倒し申請の有無にかかわらず変わらないため、今年度も予定どおりに研究費を使用してゆく。
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