研究課題
平成26年度の研究において、磁気共鳴分光法を用いて運動時の骨格筋エネルギー代謝を調べた結果、同一絶対強度での運動時には、常酸素環境と比較して低酸素環境では骨格筋の有酸素エネルギー供給量が減少し、無酸素性エネルギー供給量が増加することを示唆する結果が得られた。このような低酸素環境での運動時の代謝特性を利用して、平成27年度および平成28年度は、無酸素性エネルギー供給能を高めることを目的とした低酸素環境での高強度・短時間の運動トレーニングの効果を検証した。その結果、平成27年度の研究において、高強度・短時間の運動トレーニングは低酸素環境で行うほうが常酸素環境で行うよりも骨格筋の無酸素性エネルギー供給能力の向上が大きいことを示唆する結果が得られた。平成28年度は、さらにトレーニング実験を進め、運動パフォーマンスとエネルギー代謝の観点から検討を行った。12名の自転車競技選手を常酸素環境でトレーニングを行う群(N群:6名)と低酸素環境でトレーニングを行う群(H群:6名)の2群に分け、高強度・短時間の運動トレーニングを行わせた。その結果、高強度運動時のパフォーマンスは両群とも同様に増加した(両群ともP<0.05)が、運動時の有酸素性エネルギー供給量はN群で有意に増加した(P<0.05)のに対し、H群では変化しなかった。運動後の血中乳酸濃度は、N群では変化しなかったのに対し、H群では有意に増加した(P<0.05)。すなわち、H群では無酸素性エネルギー供給量が増加したことがパフォーマンスの向上に貢献したことが示唆された。以上のことから、低酸素環境で高強度・短時間の運動トレーニングを行うことに対する効果は、運動パフォーマンスには常酸素環境でトレーニングを行う場合と顕著な違いがないとしても、エネルギー代謝面では無酸素性エネルギー供給能の向上に有効であることが示唆された。
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