研究課題/領域番号 |
26350825
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
栗原 俊之 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (10454076)
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研究分担者 |
山内 潤一郎 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (70552321)
大塚 光雄 立命館大学, スポーツ健康科学部, 特任助教 (20611312)
福谷 充輝 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員 (80722644)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 足指筋力 / 筋電図 / 足アーチ |
研究実績の概要 |
実験1:足指筋力の定量 握力計を模して作られた足指筋力計を用いて、成人男女被験者28名を対象に足指筋力を測定した。測定姿勢は、座位、長座位、両足立位、片足立位、両足立位荷重の5試技とし、さらに運動パフォーマンスやバランス能力との相関をみるために、垂直跳び、立ち幅跳び、ファンクショナルリーチ、静止立位保持課題などを行った。同時にMRIにより足部の筋横断面積を求めた。足指筋力と筋断面積の間に相関が認められた。また、跳躍能力やバランス能力と足指筋力に相関(r=0.63, r=-0.59)が認められ、足指筋力が各種運動能力に関連することが示唆された。次に、中足趾節関節を中心軸に回転する機器を作製し、従来の足指筋計と併用して足指筋力を測定した。新しい機器は中足趾節関節の角度を15度刻みで変化させることができ、関節角度-筋力関係を見出すことができた。 実験2:足指筋力発揮時の足内在筋・足外在筋活動測定 長母趾屈筋、短母趾屈筋、後脛骨筋、母趾外転筋の筋腹よりワイヤ筋電図を用いて筋電図を得る方法を習得した。この方法を用い、成人男女被験者20名に対してワイヤ電極を挿入し、足指筋力発揮中の筋活動量を定量した。また、足部内側縦アーチは足内在筋や後脛骨筋が活動することによってその高さが保たれることが知られている。そこで、本研究では①縦アーチを座位安静時に膝上に荷重すること、あるいは、②立位姿勢になってアーチに自体重負荷がかかることによって、足内在筋が活動するか否かを確認した。その結果、①では、被験者によって様相が異なり、アーチ高が大きく変化する被験者(Flexible arch)では筋活動がみられ、アーチ高の変化が少ない被験者(Rigid arch)では筋活動が認められず、アーチの頑強さと筋活動が関連することが示唆された。ただし、②ではその傾向がなく、全ての被験者で筋活動が惹起される様相が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験1、実験2ともに計画通り、順調に進んでおり、実験2のMRI-T2画像を用いた予備実験も数名の被験者について実施しており、本実験が終了しだい、すぐさま実験3にとりかかることが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には従来の計画通りに研究を進めていく予定である。実験3の被験者について、現在交渉中である。本研究課題の各実験の章立ては以下の通りである。 実験1.足指筋力の定量(直接法と間接法の比較検討) 実験2.足指筋力発揮時の足内在筋・足外在筋活動測定(MRI-T2値測定、筋電図測定) 実験3.パフォーマンス向上のための効果的な足指筋力トレーニング 実験1、2により、足指筋力発揮に貢献する筋群およびそれらの筋活動を定量することが可能となった。そこで、実験3では、それらの筋群を強化するためのトレーニングを考案する。従来、高齢者に対して頻繁に処方されている歩行トレーニングをコントロール群として、足指トレーニングの介入実験により、バランス能力や歩行能力などのパフォーマンス向上の可能性について検討する。対象とする被験者は健常な高齢者(60歳以上)であるが、比較対照として成人(20歳)に対しても同様の検討を行う。 介入前後の測定では、厚生労働省の介護予防マニュアル(改訂版)ならびに文部科学省の新体力テストから抜粋した体力測定項目(握力、開眼片足立ち、Timed Up & Goテスト、歩行時間(通常、最大)、日常生活活動テスト、長座体前屈、10m障害物歩行、6分間歩行)に加えて、足指筋力の測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に測定を行い,その結果を論文としてまとめているところである。 被験者の都合や機材の予約状況などで,本来は年度内に全ての測定が終了し,集計まで終わっているはずであったが,年度をまたいでしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
早急にデータをまとめ,国際誌に投稿論文として投稿する予定である。その際の英文校正費,投稿料として使用する予定である。
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