剣道難聴発生メカニズムを明らかにするため,頭部において最も衝撃を受ける頻度が高い打突部に着目し,頭蓋骨模型に竹刀で打撃を与えた時の振動である「骨導」の伝播を,模型に貼り付けたひずみゲージにより測定した.また,実験より得られた結果を,ヒト頭部モデルを用いたシミュレーションの結果と比較し,剣道難聴発生メカニズムを考察した. ヒト頭蓋骨模型を用いた骨導計測実験の結果より,ヒト頭蓋骨模型への打撃により発生した過大な骨導は,前額部および後頭部を伝播していることから,脳組織に物理的なダメージを与えている可能性が示唆された.また,これらの骨導の主要な周波数成分は約0.1kHzであることが明らかとなった.
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