研究課題/領域番号 |
26350827
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
星川 雅子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (60284923)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アスリート / 睡眠 |
研究実績の概要 |
①海外遠征時の時差適応日数短縮のためのストラテジーに関する研究では、時差6時間以上の都市へ海外遠征に行く成人について、腕時計型の身体活動量計を用いた睡眠パラメータの評価と質問紙による体調の評価を行った。渡航先での適応日数短縮のためのストラテジーとしては、渡航前の高照度光照射や、渡航前・渡航期間中にメラトニンアゴニストを服用を採用し、これらを行った場合と行わなかった場合の上記パラメータの比較を行った。東京からアメリカへの遠征(東側へ時差9時間)の場合には、渡航先到着日から1週間の睡眠(身体活動量が観察されない時間)、不眠感が改善するという形で効果を確認できた。東京からヨーロッパへ遠征(西側へ時差7時間)の場合には、被験者の感想として「高照度光照射やメラトニンアゴニストを服用したほうが体調が良かった」ものの、上記睡眠パラメータやColumbia Jet Lag Scaleで統計的に有意差が観察されるほどの改善に至ることはできなかった。
②高地(低酸素環境)での睡眠の計測・評価法に関する研究では、常酸素環境と標高2000m相当の低酸素環境で睡眠した際の睡眠の質を、ポリソムノグラフィとシート型睡眠計測機を用いて評価した。ポリソムノグラフィでは、低酸素環境で徐波睡眠が減少するという形で睡眠の質の変化が観察された一方、睡眠潜時や中途覚醒は変化しなかった。シート型センサーでは、睡眠潜時、中途覚醒は評価できるが、睡眠深度は評価できないので、ポリソムノグラフィで検出した低酸素環境での徐波睡眠の減少を検出することはできなかった。 その一方、低酸素環境下での睡眠時間が短いと体調を崩すアスリートがいたことから、睡眠の質だけでなく、睡眠時間も重要であり、そのための指標を作成する必要があるのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①海外遠征時の時差適応日数短縮のためのストラテジーに関する研究 アスリートおよび競技団体の協力を得て、計画通り順調に測定を行えている。
②高地(低酸素環境)での睡眠の計測・評価法に関する研究 シート型センサーでは、睡眠の質の小さな変化は検出しにくかった。しかし、低酸素環境下での睡眠時間がアスリートの体調に影響するという例が得られ、今後の研究の方向性を見いだせた。
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今後の研究の推進方策 |
①海外遠征時の時差適応日数短縮のためのストラテジーに関する研究 今後は、アメリカ遠征に行く場合について例数を増やすとともに、時差12時間のブラジル遠征に行く場合について検討する。
②高地(低酸素環境)での睡眠の計測・評価法に関する研究 今後は、睡眠時間と免疫に関するパラメータとの関連について、検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
標高2,000m相当の低酸素環境でおこる睡眠時無呼吸の数が少なく、検出精度がよくない可能性があると考え、睡眠時無呼吸を判定できるシート型センサー購入を見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に行う低酸素環境での睡眠時間と免疫パラメータの研究の被験者謝金として使用する。
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