ランディング動作は、ランニング、ジャンプ動作等様々な動作に伴い起こり、陸上スポーツで最も頻繁におこる動作のひとつである。接地動作に合わせての膝関節周囲筋の賦活は、靭帯による力学的支持が不足しているACL損傷患者の膝関節の安定にとって、健常者以上に重要な役割を果たしている。それゆえACL損傷患者が安全に競技復帰するためには、いかなるスポーツシーンでおこる接地動作においても正常なタイミングで膝関節周囲筋を賦活させることができなければならない。スポーツ活動中には予測外のタイミングでの接地を余儀なくされることも多くあるが、膝関節周囲筋に制御異常があるACL損傷患者の予測外の接地に関する知見は得られていない。本計画ではACL損傷患者を手術なしでもスポーツ活動に適応できる患者(Copers)が不意なタイミングで接地した時の筋の収縮様相を比較し、ACLによる力学的支持が不十分でも関節の安定を図れるCopersのメカニズムの解明を試み、そのメカニズムを踏まえたリハビリテーション戦略を提案することを目的とする。 今回の研究では、ACL損傷患者の手術前の3種類のランディング動作中の筋放電パターンを解析した。本研究では、高さの異なるものの接地面を被験者が正確に視認して行う15㎝、30㎝の通常ランディングと、高さは30㎝であるものの接地面の高さを15㎝に見せかけ、実際は30㎝の高さからのランディングであるSurprised Landingと3種類のランディング動作を行わせた。 その結果、接地面を正確に視認して行う通常ランディングにおいては、ACL損傷患者と健常被験者との間に有意な差は確認されなかったが、Surprised Landingにおいては、今回の研究に用いたCopersと呼ばれる患者は、健常者とは異なる筋放電パターンを用いて適応している事が確認された。
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