研究課題/領域番号 |
26350848
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
田中 逸 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40276499)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヘルスプロモーション / 栄養バランス / 肥満者 / 体脂肪 |
研究実績の概要 |
平成26年度は研究を進める上での体脂肪の評価法に関する検討と新食材の開発、及び前向き研究のための対象者の登録を行った。詳細は以下の4点である。①内臓脂肪総体積と腹部皮下脂肪総体積の新しい評価システムを構築した。従来は申請者らが独自に開発したオリジナルソフトを使用していたが、フジフィルム社製の解析ワークステーション(Vincent)を導入した。同社と共同研究を行って従来法と比較した結果、高い相関性が認められ、新システムに切り替えても問題ないことを確認した(平成27年糖尿病学会で発表予定)。②1H-MRSによる肝内脂肪量の定量評価法を用いて、非肥満健常者群とメタボリックシンドロームのリスクを1項目でも有する群との比較検討を行い、肝内脂肪量の正常値を設定した(平成27年国際糖尿病連合総会に演題投稿中)。③新バランス食(炭水化物40~45%、脂肪25%、蛋白質30~35%)の食事を無理なく継続できるための新食材をニチレイフーズ(株)と共同開発した。従来の高蛋白食材は脂肪含量も多いため、高蛋白と低脂肪の両立が困難であったが、新規に開発したものは、総重量33g中に蛋白質30g、炭水化物0g、脂肪1g、水分2gを含み、91%が蛋白質のみで構成される。入院患者を対象に食感と継続性に関するアンケート調査を行ったところ、高い評価を得た。かかる食材を用いて、従来バランス食(炭水化物55~60%、脂肪25%、蛋白質15~20%)と新バランス食の献立を完成し、糖尿病入院患者を対象に連続グルコースモニタリングを行い、血糖日内変動に及ぼす影響を検討した。新バランス食は平均血糖に影響しないが、血糖変動(標準偏差)を減少させる可能性を見出した。④肥満者の体脂肪と体重に及ぼす前向き研究を行うための対象者の登録は26年度から開始し、現在24例の同意を取得し、臨床背景因子の登録を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の遂行に際して最も重要なポイントは3点である。第一は体脂肪の定量的評価法、第二は低炭水化物・低脂肪・高蛋白の具体的な献立作成、第三は対象者の登録である。平成26年度は第一に関しては内臓脂肪体積をこれまで以上に迅速かつ短時間に算出できる新評価システムを構築した。第二については91%が蛋白質で構成され、かつ良好な食感の新食材を開発した。第三については文書同意を得た対象者の登録作業を順次行い、さらに進行中である。以上より進行状況はおおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は対象者の登録をさらに進めつつ、背景因子の登録をすでに終えた対象者に対して、ベースラインの検査データ取得と食事介入を開始する予定である。また、共同開発した新食材に関する中長期的な使用におけるアンケートやデータ変動を解析し、特許出願の可能性に関する検討を行う。平成27年度の研究費は主に体脂肪評価に関わる画像検査用の消耗品、血液検査に関する経費、対象者への交通費、その他事務・通信費に使用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は予定していた登録対象者の画像検査と血液検査が年度内に完了しなかったために、検査に関わるキット代や消耗品購入、事務費用が予算をやや下回ったために余りを生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に余った金額は平成27年度に画像検査と血液検査に関するキット類、消耗品、事務用品の購入に使用する。
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