平成28年度は本研究の最終年度であり、前向き研究の対象として、従来バランス食(炭水化物55%、脂質25%、タンパク質20%に設定)、新バランス食(炭水化物40~45%、脂質25%、タンパク質30~35%に設定)の2群に分類して1年間の前向き研究を行った。平成27年度末に新バランス食に予定していた高タンパク質新食材のニチレイフーズ社との共同開発品の量産が間に合わなくなったため、市販のプロテイン製品(SAVAS)に急遽変更し、これに伴う学内倫理審査委員会の臨床試験変更に関する承認を得た上で対象者の登録を平成27年度末から開始した。 対象者は内服薬を使用していない肥満者でBMI 25~40 kg/m2、設定エネルギー量は25~27kcal/標準体重kgとし、従来バランス食群10例(男性4例、女性6例)、新バランス食群10例(男性4例、女性6例)の2群に無作為割り付けを行い、管理栄養士からそれぞれについて食事指導を行い、医師、看護師から運動も含めた日常生活全般の指導を行った。両群とも毎月1回の外来受診とし、医師、管理栄養士、看護師から日常の食事摂取、活動量について確認と指導が行った。 現在、18例が1年間の検討を全て終了し、あと2例が平成29年6月中に終了する予定である。終了した18例の内臓脂肪体積、腹部皮下脂肪体積、肝内脂肪量、下肢除脂肪量(下肢筋肉量)について解析中であるが、従来バランス食群のBMIは29.6±3.1から28.1±2.9 kg/m2、体重減少率は0.9±4.0%と軽度の低下であったのに対して、新バランス食群ではBMIが29.1±3.5から25.2±1.2 kg/m2、体重減少率が7.6±3.5%と中等度の低下を認めた。
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