研究課題/領域番号 |
26350849
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
安野 富美子 東京有明医療大学, 保健医療学部, 教授 (00563404)
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研究分担者 |
家吉 望み 東京有明医療大学, 看護学部, 助教 (00582248)
梶原 祥子 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (10299985)
坂井 友実 東京有明医療大学, 保健医療学部, 教授 (70235117)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 温灸療法 / 妊婦 / QOL / 伝統医療 / 安産支援 / 鍼灸 |
研究実績の概要 |
日本の伝統医学である温灸療法は、古来より女性の「不妊」「冷え症」「安産支援」や「異常分娩」等の予防及び治療に用いられてきた。近年の調査によると、妊婦1人あたりのマイナートラブル発症数は平均27症状で、45症状が50%以上に出現し、易疲労感・頻尿・全身倦怠感は90%以上に発症している。また、妊娠の経過に伴いQOLは身体健康側面で著明に低下し、さらに、冷え症の妊婦は異常分娩の発生率が有意に高い。これらの対策として薬物療法は妊娠中には制限されるために、適切な非薬物療法が求められる。本研究では、非薬物療法の一種である温灸療法が、妊婦の分娩の状況および妊娠期間中のQOLに与える効果について検討し、日本の伝統医療である「温灸療法」が安産に貢献できるか否かのエビデンスを検証することを目的とした。 26年度は、倫理委員会で承認が得られた後、研究協力病院産科および助産院で研究参加者を募集した。当初ランダム化比較試験を計画していたが、研究対象者が妊産婦であること、関連施設の医師および助産師の意見も考慮し、本研究ではランダム化比較試験実施するのは困難であると判断し、非ランダム化により症例を集積することとした。半年間で95名の研究参加者があった。温灸群は、妊娠24週から施灸をセルフケアにて行い、評価は、分娩の状況(所要時間、出血量、会陰裂傷の有無と度数、前期破水・早産・微弱陣痛・遷延分娩・弛緩出血の有無)、健康関連QOLであるSF36、マイナートラブルの変化、東洋医学的評価票を用い、評価の時期は、1回目:妊娠20~24週、2回目:28~29週、3回目:32~33週、4回目:36~37週、5回目:出産後(分娩の状況)とし、分娩の状況は担当助産師が、他は自己記入式アンケート調査により行っている。26年度の対象者は27年7月末までにすべてが出産を迎える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究は、温灸療法が妊婦の妊娠経過に伴うQOL・マイナートラブルおよび分娩の状況に対する効果を検証することを目的としている。対象は、妊娠の経過が安定している妊婦で、一般健康診査を受診し、正常な妊娠経過を辿る日本人女性で、本研究の趣旨と研究内容に同意し、書面で同意が得られた妊婦とした。除外基準は、妊娠中に医療的処置を必要とした妊婦は脱落例として扱い対象から除外する。26年度は、倫理委員会承認後、研究参加者を募集し、症例を集積する期間としているが、半年で95名の研究参加者があった。途中脱落例もあるが、26年度は100例の集積を見込んでいたため概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
27年度も引き続き研究参加者を募集し、症例を集積する。研究期間中に200例(温灸群100例、対照群100例)を集積予定であるが、これまでの経過から、27年度中には200症例の研究参加者が得られる見込みである。なお、1人の研究期間がおよそ5ケ月かかることから、全症例の結果が得られるのは28年度初旬の予定である。データ解析は当初の予定通り、28年度となる。27年度は7月末までに95症例の出産が終了するので、これまでのデータをまとめて関連学会に報告予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会に一部参加しなかったため残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り、研究に必要な物品費(おもに温灸購入)、研究協力施設までの交通費、学会参加旅費、被験者謝金、研究協力者への謝金などの用途に用いる。
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