研究課題/領域番号 |
26350851
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
木宮 敬信 常葉大学, 教育学部, 准教授 (20288400)
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研究分担者 |
戸田 芳雄 東京女子体育大学, 体育学部, 教授 (00578859)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 異文化理解 / 多文化共生 / 外国人中学生 / 安全マップ学習 / 体験学習 |
研究実績の概要 |
平成27年度までの研究成果として、在日外国人生徒に向けたe-learningを使ったクイズ形式の知識学習とディスカッション形式による思考学習教材を作成し、プレテストを実施した。平成28年度は、この評価を踏まえた知識学習教材の開発に加えて、体験学習プログラムを検討した。この成果は、平成28年11月に異文化学習イベントとして実施され事後評価を行った。在日外国人生徒の周辺環境に非行化する危険因子が多いことに加え、彼らの日本社会での孤立化も非行の一因として考えられるため、今回の学習イベントは在日外国人学校に通う外国人中学生と公立学校に通う日本人中学生との共同プログラムとして実施した。 知識学習教材については、「不足している知識をグループ学習や体験活動の中から学ぶこと」「親和性の高いタブレット端末を使った学習形式を取ること」等を踏まえ、iPadを使った安全マップ学習教材を作成し、イベント当日に実際に町を歩きながらフィールドワークを行った。体験学習プログラムについては、お互いの国の文化に興味関心を持ち、理解を深めるための異文化料理体験、グループでの言葉を超えた協力や達成感を得るためのレクリエーションスポーツ体験を実施した。ほとんどの参加者は異文化体験イベントは初めての経験であったが、参加後は多くの生徒がまた参加したいと回答していた。言葉が十分に理解できないといった難しさがあったものの、大学生ボランティアを多く活用することで、お互いのコミュニケーションを促進し、文化を理解するといった目的は十分に達成することができた。一方で、知識学習については、互いの理解度に差があることやフィールドワークを深める時間を十分に確保できなかったこともあってか、内容の再検討が求められる結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定では、基礎研究終了後の平成29年度に体験的プログラムを実施する予定となっていたが、基礎研究が予定より早めに進行できたことや、平成29年度実施の場合はプログラム実施後の事後評価を踏まえた改善の時間が十分に取れないことなどから、研究計画を一部入れ替え、平成28年度に暫定的な体験的プログラムを実施し事後評価を行うこととした。これにより平成29年度にプログラムの事後評価を踏まえた内容の検討、および修正版プログラムや教材の開発が可能となった。 全体的に前倒しで進行していることから、平成29年度末の研究期間終了時までに一定の成果を上げることが可能であると予測している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は研究期間の最終年度にあたり、これまでの研究成果をまとめ、教材およびプログラムを完成させることが主な課題となる。昨年度実施した体験型プログラムの事後評価から、プログラム実施前に学校や家庭で行う事前学習の重要性が指摘された。特に家庭における教育は大きな課題であり、家庭教育を円滑に行うことができるような保護者に向けた情報提供が求められている。また、外国人生徒と日本人生徒との交流が非常に効果的であることも推測できたが、実施に向けた課題も多く指摘されたため、イベント形式に拘らず様々な形態の交流を検討していく必要がある。 平成29年度前半に作成した修正版の教材やプログラムを研究協力校の在日外国人学校生徒および保護者に配布・実施し、最終的な成果を取りまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の一部変更により、平成29年度に予定していた体験型プログラムを平成28年度に実施することとなった。そのため、プログラム実施に掛かる経費が平成28年度に計上されている。また、同じく研究計画の一部変更により、教材開発が平成29年度に移行した。そのため、平成29年度に予算を確保する必要があり、研究費を繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は研究期間最終年度にあたり、これまでの研究成果を踏まえた新たな教材の開発と作成が予定されている。e-learning教材に加えて、保護者向けの紙媒体による教材や資料の作成を計画しており、研究費の多くがここに使用される予定である。その他、研究成果の発表を学会等で行うほか、研究期間終了後の運用を見据えたwebサイトの開設等にも使用する予定である。
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