研究課題/領域番号 |
26350854
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
佐藤 真治 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (60529973)
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研究分担者 |
荒尾 孝 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00409707)
田中 史朗 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (50128740) [辞退]
田城 孝雄 放送大学, 教養学部, 教授 (60207024)
都竹 茂樹 熊本大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70467869)
大槻 伸吾 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (90247875)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 身体活動量 / ソーシャルキャピタル / 地域介入 / 人のつながり |
研究実績の概要 |
【具体的内容】 本研究課題では、歩くことによって他者との間に新しい関係性が生まれる「歩きたくなるまちづくり」を提案し、ソーシャルキャピタルを高めるかどうかを検証する。今年度はフィールドである兵庫県豊岡市内の山間集落K地区および住宅地N地区の住民を対象とし、介入1年目までの効果を比較検証した。その結果、K地区はN地区と比べて、持ち家率が高く(K:100%、N:88%:p=0.015)、20年以上居住している人の割合が高かった(K:93%、N:76%:p=0.017)。2要因の分散分析の結果、身体活動量は、交互作用を認めなかったが時間の主効果が有意であった(K:3.2→3.5ポイント、N:3.6→3.8ポイント)。ソーシャルキャピタル値は、地区と時間の間に交互作用を認め(p=0.015)、K地区では変化を認めなかったが(p=0.118)、N地区では有意に低下した(p=0.017)。以上、「歩きたくなるまちづくり」を山間部と住宅地に同時に行い、ソーシャルキャピタルに及ぼす影響の地域差を検証した結果、対象地域での身体活動量は増加し、地域差が認められなかったのに対して、ソーシャルキャピタルの変化には地域差が認められた。 【意義・重要性】 「身体活動量増進を目指した地域介入によってソーシャルキャピタルが高まる可能性があること」、「ソーシャルキャピタルへの効果には地域差があること」は、本研究の遂行によって始めて明らかになった事実であり、意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、介入1年目までの成果を整理し、論文にすることができた。また、今年度中に予定されていた介入(3年間)が終了し、研究終了時の調査を完了できた。さらに、2015年10月には、フィールドとなった兵庫県豊岡市にて、本研究課題の更なる浸透を目的として、市民の方々や行政の方をお招きしてイベント講演をおこない、大変好評であった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、これまでに得られデータ(介入1年目・3年目)を詳細に解析・検証をおこなう。具体的には、「歩きたくなるまちづくり」のソーシャルキャピタルへの対する効果メカニズムを解明する。また、豊岡市において研究成果を健康施策に結び付ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題の地域への浸透を目的としてイベントを開催するために、次年度の予算を前倒しして支払い請求したが、予想よりもイベント運営費の支出が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究課題の成果を更に富山県富山市や宮城県気仙沼市に展開する予定である。そのための研究代表者の旅費として使用する。
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