研究課題/領域番号 |
26350858
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
村上 佳司 國學院大學, 公私立大学の部局等, 教授 (10460510)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学習障害 / 自閉症スペクトラム / 児童生徒 / 防災能力 |
研究実績の概要 |
1.防災教育の実態調査について : 障害者教育および防災教育の実態調査は,小学校6校,中学校6校で全児童生徒,教員を対象に行い,また,保護者に関してもアンケート調査を行った.その集計は,児童生徒,教員,保護者の3つのカテゴリーとも終了したが,統計処理については,保護者対象のアンケート調査のみ終了した.その結果について,学術論文として発表した. 2.障がいのある児童に関する防災能力の調査と検証 : 東北の震災を経験した小学校の校長に対してのヒアリング調査,障がいのある子どもに関わる支援者に対してのヒアリング調査を行い,そのことより明らかとなった課題や必要な配慮を基に施設及び学校で身を守る行動や避難行動の実践教育を行った.実践教育を通して障がいのある児童がどのような行動が可能かを検証した.その結果,視覚支援や声掛け,子どもへのファシリテーターの配置など配慮を行うことにより,通常の防災訓練には参加しづらい児童も訓練に参加することが可能となった.また,参加した児童の保護者に聞き取りを行った結果,非常口のマークを見つけると「ここに逃げばいい」と子どもから発話するなど防災知識の定着が見られたと報告があった. 3.実践したワークショップ,安全教室 : (1)2015年8月25日 堺市内の障がい児支援施設で9名を対象にワークショップを開催.(2)2015年11月5日 横浜市立元石川小学校の特別支援教室で4名を対象に防災教室を開催.(3)2016年2月6日 八尾市大正小学校内放課後児童教室(こばと教室)で5名を対象に児童向け安全教室開催.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目では,文部科学省および各自治体が発行する防災指針および調査協力校における防災マニュアルの分析を行い,障がい児を視野に入れた防災の取り組みの現状を検証し,その結果を踏まえ,資料分析から抽出された課題を調査項目に反映させ,児童生徒,教員,保護者を対象としたアンケート調査項目の妥当性を検証し調査項目を決定した. 2年目では,12校の小中学校を対象とした障害者教育および防災教育の実態調査,保護者を対象とした実態調査を行い,全てのカテゴリーについてアンケート集計が完了している.また,保護者のアンケートについては統計処理も終え成果発表も行った.更に障がいのある児童に関する防災能力の調査と検証として,東北の震災を経験した小学校の校長,障がいのある子どもに関わる支援者に対してのヒアリング調査を行い,そのことを踏まえ,身を守る行動や避難行動の実践教育(ワークショップ)を行った. このことより,当初計画した研究計画に沿った研究活動を順調に行っていることが伺える.
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今後の研究の推進方策 |
児童生徒,教員のアンケート結果の統計処理を行うことで,明らかになった課題を踏まえ,また,今年度で行ったワークショップでの子どもの反応を参考に修正を加え,試作した教材を用いて学習障害・自閉症スペクトラムの子を対象とした防災ワークショップを開催することを計画している. 次に,上記のワークショップでの事例および模擬授業の内容を事例として整理し,学習障害および自閉症スペクトラムの児童生徒の対応仕方についての事例集を作成することを計画している.事例集を作成することで,教育現場や家庭において学習障害・自閉症スペクトラムの児童生徒に対する負担を軽減することが期待できると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた作業が効率よく行えたことで,人件費に余裕ができたため.
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金に関しては,出張費等にあてることを考えている.
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