研究課題/領域番号 |
26350862
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研究機関 | 有限会社自然医科学研究所(実証システム国際研究センター) |
研究代表者 |
宗 未来 有限会社自然医科学研究所(実証システム国際研究センター), 実証システム国際研究センター, 研究員 (00327636)
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研究分担者 |
関沢 洋一 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 上席研究員 (60444098)
前川 浩子 金沢学院大学, 文学部, 准教授 (10434474) [辞退]
山口 芳香 有限会社自然医科学研究所(実証システム国際研究センター), 実証システム国際研究センター, 代表 (00420737)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Internet CBT / インターネット認知行動療法 / CBT / ICBT / CCBT / RCT / 認知行動療法 / 強化学習 |
研究実績の概要 |
経済損失が大きいにも関わらず、病気ではないとして精神医療の対象外とされてきた軽症うつを呈する勤労者に対して、軽症には効果の期待されない薬物療法ではなく精神療法的介入が求められている。特に、経済性に優れエビデンスも有する自助型認知行動療法に諸外国では期待が集まっている。しかし、脱落率の高さや社会機能面における改善の欠如が課題とされている。本研究では、7週にわたる完全自習型eラーニングによる抗うつ効果について無作為統制試験を通じて、特に“習ったことを誰かに話す”ピア教授型ペアワーク強化学習法の併用で学びが深まり、自習での抗うつ効果増強やその他の課題も克服されうるかを検証した。結果、CCBT単独施行群では待機群に対して中~大の有意な効果量(p<0.005)(偏差値換算で6.5相当の改善)が得られ、ベースラインにおいてBDI-2で中等度の抑うつが正常との境界領域にまで軽減された。しかし、ペアワーク付加群では7週後において待機群と比較して、うつ状態において有意差を認めなかった。これは、適切なガイダンスのない安易な相互扶助は、CCBT単独群で得られるはずの抗うつ効果を毀損し、むしろリスクとなりえることが示唆された。更に、脱落では群間で有意差を認めなかった。一方で、ペアワーク付加群は介入中には一時的に状態不安は軽減させ、機能面において身体的側面において有意な改善を最終的に認めていた。アンケートでは、ペアワークには賛否両論であった。しかし、探索的解析では開始時に不安の強い層に限っては、ペアワークを重ねるほど抗うつ効果が増強することが有意に示された。また、ペアワークに抗うつ効果を認めなかったことから費用対効果は劣るという結論に至った。本研究から、今後の健康教育や自助治療におけるペアワークの学習効果増強が、特に高不安者には期待されることが示唆されたことは意義深い一方で、更なる検証が望まれる。
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